認知症の始まりと向き合うために——京都の母の物忘れに気づいた日#709【介護日記#003】
2020年1月、京都に住む母の物忘れが目立つようになってきたことをきっかけに、僕と妻は東京の自宅近くにある「長寿サポートセンター(地域包括支援センター)」を初めて訪れました。
「自分たちに今できることは何か」を相談するためです。
長寿サポートセンターは、介護保険法に基づいた「地域包括支援センター」で、保健師(または看護師)、社会福祉士、主任介護支援専門員といった専門職の方々が連携しながら、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていけるように支援してくれる機関です。
対象はおおむね65歳以上の高齢者とその家族。困ったことがあれば無料で相談することができます。
この「地域包括支援センター」は、のちに何度も頼ることになる、僕たちにとって非常に心強い存在となっていきました。

母の気になる様子——典型的な認知症の初期症状
初めて相談に訪れたその日、担当の方に母の最近の様子をお話ししました。
たしか、以下のようなことを伝えたと思います。
- スーパーに買い物に行ったのに、買いたかったものを忘れて帰ってきてしまい、何度も同じ店に行く
- 「お小遣いを振り込んでおいたよ」と電話してくるけれど、実際には口座に振り込まれていない
- 「誰かに財布を盗まれた」と何度か言っていたが、あとから部屋の中で見つかる
これらの話を聞いた担当者の方は、静かに、しかしはっきりとした言葉でこう教えてくれました。
「アルツハイマー型認知症の、典型的な初期症状ですね」
「治ることはありません。これからおおよそ5年かけて、ゆっくり進行していきます」
「ご家族にできるのは、進行を少しでも遅らせるためのサポートです」
このとき、「物忘れ」という言葉が、「ああ、母は認知症になってきているんだ」と、僕の中で現実として強く突き刺さりました。
頭では理解していても、やはり他人から言われて初めて、現実として受け入れることができた気がします。
京都の地域包括支援センターへ連絡
東京のセンターの方からは、「次に京都へ帰省されたとき、現地の地域包括支援センターにも相談してみてください」とアドバイスをいただきました。
さっそく、実家のある京都市内の担当エリアにある長寿サポートセンターに電話をしてみると、
「次回、京都に来られた時で構いません。まずは情報の登録から始めましょう」
「ご本人様が来られなくても、ご家族様だけで大丈夫です」
との返答をいただきました。
その言葉に安心し、2月の帰省時に京都のセンターに足を運ぶ予定を立てることにしました。
まとめ
母の認知症に気づいた最初の一歩は、まさに「気になることを相談してみる」ことでした。
長寿サポートセンター(地域包括支援センター)は、僕たち家族にとって心の支えとなり、これから続く介護の道の起点になりました。
もし、ご家族の物忘れや行動に違和感を感じたら、早めに地域包括支援センターへ相談してみることをおすすめします。専門の方が寄り添いながら、具体的なアドバイスをくれるはずです。
長寿サポートセンターは、介護保険法に基づく「地域包括支援センター」で、保健師(看護師)、社会福祉士、主任介護支援専門員などの専門職の方々が連携しながら、高齢者が住みなれた地域で暮らしていけるよう支援を行う機関。おおむね65歳以上の高齢者とその家族などがサービスを受け、相談に乗ってくれたりします。
この、地域包括支援センターは以後、とにかく何かとお世話になり続けることになる機関でした。
この時に、相談に乗ってくれた方に伝えた母の症状は、確か、
・スーパーに買い物に行って、買いたかったものを忘れて帰ってきて何度か行ってしまう
・お小遣いを銀行口座に振り込んでおいた、と電話で伝えてくるが実際には何も振り込まれていない
・誰かに財布をとられた、ということが何度かあって、実際には部屋のどこかかから見つかった
というようなものだったと記憶しています。
その時に係りの人から言われた言葉が、自分の中では現実としてズシリと響き、よく記憶に残っている。
「アルツハイマー型、認知症の典型的な初期症状」
「治ることはもうなく、これから5年くらいかけて進行していく」
「まわりができることは、進行を遅らせるサポート」
「物忘れ」というのがはっきりと、「あぁ、お母さんは認知症になってきたんだ」と自分の中で認識できた瞬間でした。
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