第157回 父から受け継いだ一冊の御朱印帳|鎌倉五山から京都五山へつなぐ親子の物語#1218
遺品整理で見つけた、一カ所だけしか記されていない御朱印帳。そこには2009年、僕が結婚する直前に父と訪れた鎌倉の記憶が刻まれていました。父が大切に仕舞っていた「思い出の続き」を、今度は僕が家族と一緒に紡ぎ始めます。
父の遺品から見つかった「一カ所だけ」の御朱印帳
2025年12月にこの世を去った父。その遺品を整理していた時のことです。引き出しの奥から、一冊の御朱印帳が出てきました。
表紙には「大本山・建長寺」の文字。ページをめくると、最初の一ページにだけ建長寺の御朱印が記されていました。日付は「平成21年10月18日」。今から15年以上も前の日付を眺めているうちに、当時の光景が鮮明に蘇ってきました。
2009年、それは僕と妻が結婚する前年のこと。京都から上京した両親が、妻のご両親に挨拶を済ませた翌日、僕が運転する車で鎌倉観光へと出かけたのです。その時に立ち寄った建長寺で授かったのが、この御朱印でした。

禅宗と実家を結ぶ、父の深いこだわり
神奈川県鎌倉市にある「建長寺」は、鎌倉五山の第一位に数えられる臨済宗の名刹です。
実は、僕の実家は京都五山の一つである「建仁寺」の塔頭、六道珍皇寺の檀家でした。父は定年退職後、そのお寺のお手伝いに勤しむほど寺院との縁が深く、鎌倉の地で禅宗の総本山を訪ねたことは、父にとって特別な意味があったはずです。
それから一度も使われることなく眠っていた御朱印帳。一人息子が家庭を持つ直前の、あの晴れやかな日の思い出を、父はどんな気持ちでこの帳面に閉じ込めていたのでしょうか。
2026年ゴールデンウィーク、円覚寺から再開する旅
父が遺したこの御朱印帳に、続きを記したい。そう思い立った僕は、このゴールデンウィークに家族を連れて鎌倉を訪れました。
向かったのは、北鎌倉駅からほど近い鎌倉五山第二位の「円覚寺」です。 国宝の舎利殿(しゃりでん)でも知られるこの寺院は、鎌倉特有の「谷戸(やと)」と呼ばれる地形に建つ、荘厳な禅宗寺院でした。家族と一緒に静かな境内で手を合わせ、父の御朱印帳に二つ目の印をいただきました。

これからの展望:鎌倉五山から京都五山へ
父から引き継いだこの旅の目標は、まずは鎌倉五山を完遂することです。
- 建長寺(父が参拝)
- 円覚寺(今回参拝)
- 寿福寺
- 浄智寺
- 浄妙寺

そしていつか、父の故郷である京都へも足を運びたいと考えています。足利将軍家によって定められた京都五山(天龍寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺)、そして別格の南禅寺。これらを巡ることは、僕自身のルーツを辿る旅にもなるはずです。
結び:親子二代でつなぐ「心の記録」
父が最初の一歩を記した御朱印帳を、今度は僕が手に取り、子供たちと一緒に歩んでいく。それは単なるスタンプラリーではなく、時を超えて父と会話をするような、不思議で温かい時間のように感じられました。
この一冊を親子二代にわたる素敵な記録として完成させたい、そう強く心に誓ったのでした。

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