第147回 遠距離介護のチェックリストに加わったもの。母の財布から消えた数万円の行方#1208

東京と京都を往復する遠距離介護。2週に一度の面会では、母の生活を支える日用品の補充が欠かせません。しかし、いつものチェックリストに「母の財布の中身」という気がかりな項目が加わることになりました。数万円という、生活圏内では考えにくい金額の減少。母の言葉から見えてきた現実と、僕が取った対応について綴ります。

母を支える遠距離介護のルーティン

東京で暮らしながら、母が待つ京都のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)へ2週に一度ほど面会に足を運んでいます。サ高住では日用品の用意は家族の役割となっているため、僕が訪ねる際には必ず「日用品チェックリスト」を確認するのが習慣です。

トイレットペーパーやティッシュ、クイックルワイパーの替え、ゴミ袋、シャンプー、リンス、歯磨きセット。さらには入れ歯洗浄剤や常備薬の軟膏、目薬まで。母が好きなインスタントコーヒーやお菓子、そしてお決まりのオロナミンCが不足していないかを確認し、滞在中に買い足して次の面会に備える。これが僕の、遠距離介護における大切なルーティンでした。

消えた数万円と、母の不可解な言葉

そんな日々のなかで、最近一つ、新たな気がかりが生まれました。それは母の「財布の中身」です。

前々回に確認した記憶と照らし合わせると、財布の中の現金が数万円ほど少なくなっていることに気づきました。母の今の生活環境では、単独での外出は控えてもらっています。お金を使う機会といえば、週に数回の訪問販売や、共用部の自動販売機で飲み物を買う程度。どう考えても、数千円から1万円程度の減少に収まるはずなのです。

違和感を覚え、「この前、もっと入ってなかった?」と母に尋ねてみました。すると母は、押し入れの中を落ち着きなく探し始め、思いも寄らない言葉を口にしたのです。

「お父さんに持っていかれた」「金庫もなくなっている」

数年前に他界した父の名前が出てきました。母の中で、現実と妄想がネガティブに混ざり合い、膨らんでいくのを感じました。これ以上の詮索は母を追い詰めると判断し、僕はそれ以上聞くのをやめました。手持ちの現金をそっと財布に足し、その場は静かに立ち去ることにしたのでした。

「へそくり」の習慣と、これからの見守り

さて、消えた数万円は一体どこへ行ったのでしょうか。 もちろん、施設内でのトラブルという可能性もゼロではないかもしれません。しかし、現実的に考えれば、母が「どこかにしまい込んだ」のだと僕は思っています。

以前、実家の片づけをした際も、タンスや押し入れの奥からまとまった現金が出てきたことがありました。昔から、誰かへのお小遣いや自分用の「へそくり」として、大切に現金を隠しておくのが母の性分でもあったのです。

これまでは細かくチェックしていなかった財布の残高ですが、これからは日用品リストの最上段に加えようと思います。また母の気持ちが落ち着いた頃を見計らって、部屋の中を優しく「捜索」してみるつもりです。

何度も何度もこうした探し物や紛失が繰り返されるのは、介護する側にとっても切ないものです。どうか、母の心が穏やかであり、こうした困りごとが頻発しませんように、と願わずにはいられない出来事だったのでした。

あわせて読みたい記事

おすすめの書籍

今回のブログ記事前後の関連記事

この記事を書いた人
本サイト運営者

m3-f.site ブログを運営しています。
京都市出身、現在は東京都江東区に住まい、妻と一緒に小学生&保育園の二人の子育て中。両親の介護で京都との二拠点生活です。
「野菜作りを楽しむ」をコンセプトにした家庭菜園や農体験の運営を仕事として10年やってきました。今は独立して様々な情報発信などのお仕事と、不動産の管理などをしています。

Posted by ロスジェネ40代の、あれこれ記録帳