🍵 古都の風雅を味わう:京都の名茶室めぐり【知的好奇心を刺激する旅へ】#1043
古都京都に点在する名茶室は、歴史上の茶人や武将たちの美意識が凝縮された特別な空間です。この記事では、大徳寺の「忘筌」や千利休唯一の現存茶室「待庵」など、魅力的なエピソードを持つ7つの茶室を厳選してご紹介します。単なる観光情報にとどまらず、その背景にある歴史や構造の妙を知ることで、あなたの京都旅がさらに深みを増すでしょう。
この記事内容から抜粋した練習問題5問☆
- 大徳寺の孤篷庵にある、小堀遠州好みの書院様式の典型とされる茶室の名前は何ですか。
- 高台寺の傘亭が、竹が放射線状に組まれた構造から唐傘を開けたように見えることに由来して名づけられたのに対し、正式には何という名前ですか。
- 高台寺の傘亭と時雨亭をつないでいる、吹き放しの通路の名前は何ですか。
- 高台寺の傘亭と時雨亭は、元々京都のどこにあった遺構が移築されたものですか。
- 等持院の茶室「清漣亭」が、江戸時代中期の地誌『都林泉名勝図絵』で紹介された茶人好みの茶室で、その茶人は誰ですか。
- 千利休が作った茶室で、唯一現存し、妙喜庵に存在するものの名前は何ですか。
- 建仁寺塔頭の正伝永源院にあった、織田有楽斎の茶室の名前は何ですか。
- 金閣寺(鹿苑寺)にある茶室「夕佳亭」の名の由来となった、その茶室から見える最も美しい風景とは何ですか。
- 金閣寺の茶室「夕佳亭」の床柱に用いられている、植物の名前は何ですか。
- 仁和寺の茶室「遼廓亭」は、かつて門前に屋敷があったある有名な絵師の屋敷から移築されましたが、その絵師の名前は何ですか。
☆回答は記事の最後にあります。
この記事は、茶道や歴史に関心を持つ方、これから京都の深い魅力を探りたいと願う方のために、選りすぐりの京都にある名茶室の情報をまとめています。
検定対策の知識というよりは、実際に茶室を訪れたときの感動や、その背景にある物語をより深く理解するための一助となることを願って作成しました。
京都の美しい庭園の中にひっそりと佇む茶室は、まさに古都の風雅を凝縮した空間です。
目次
大徳寺 孤篷庵(こほうあん)
忘筌(ぼうせん)
- 概要: 大徳寺の塔頭、孤篷庵(こほうあん)にある茶室です。
- 様式: 小堀遠州好みの書院様式の茶室の典型として知られています。
- 特徴的なアイテム: 「露結(ろけつ)」の銘を持つ手水鉢が有名です。
高台寺(こうだいじ)
秀吉の妻、ねねが建立したことで知られる高台寺には、重要文化財に指定されている二つの有名な茶室が、土間廊下で繋がった形で移築されています。
傘亭(かさてい)
- 正式名称: 正式には**安閑窟(あんかんくつ)**と呼ばれます。
- 特徴: 屋根を支える竹が放射線状に組まれており、その姿が開いた唐傘のように見えることから「傘亭」の名が付きました。
- 様式:千利休好みの茶室と伝わっています。
- 構造: 隣接する二階建ての時雨亭と土間廊下で繋がっています。
- 文化財:重要文化財に指定されています。
時雨亭(しぐれてい)
- 概要: 傘亭とともに、伏見城の遺構が移築されたとされています。
- 構造:
- 二階建ての珍しい茶室です。
- 二つの茶室は、吹き放しの土間廊下で繋がっています。
- 内部の特徴:
- 一階の廊下は水屋と待合の役割を持ちます。
- 階上は上下二段になっており、上段には三方に突き上げの窓があります。
- 下段には**円窓の床(とこ)があり、その横には竈(かまど)**が設けられています。
- 文化財:重要文化財に指定されています。
等持院(とうじいん)
清漣亭(せいれんてい)
- 概要: 北区にある等持院の茶室です。
- 好み:足利義政好みの茶室と伝わっています。
- 立地: 庭園にある**芙蓉池(ふよういけ)**の北側に建てられています。
- 特徴: 小高いところに位置しているため、庭園を見渡せる見晴らしの良い茶室として知られています。
- 史料: 江戸時代中期の地誌『都林泉名勝図絵』でも紹介されています。
妙喜庵(みょうきあん)
待庵(たいあん)
- 概要: 大山崎町にある妙喜庵(みょうきあん)に現存する茶室です。
- 作者:千利休作の茶室として、唯一現存するものとされています。
- 背景: 妙喜庵の三世、功叔士紡(こうしゅくしぼう)は茶人として名高く、千利休と親交がありました。
建仁寺塔頭 正伝永源院(しょうでんえいげんいん)
如庵(じょあん)
- 概要: 織田信長の実弟である織田有楽斎(おだうらくさい)によって作られた茶室です。
- 建立年: 元和4年(1618年)に建てられました。
鹿苑寺(ろくおんじ)- 金閣寺
夕佳亭(せっかてい)
- 概要: 北区の鹿苑寺(金閣寺)の境内にある茶室です。
- 立地: 庭園内の池、**安民沢(あんみんたく)**の東側の小高いところに建てられています。
- 好み:金森宗和(かなもりそうわ)好みと伝わっています。
- 名前の由来:夕方に、正面の池の向こうに見える金閣が夕日に映えて美しく見える眺望から名付けられました。
- 構造:
- 三畳敷で、**台目床(だいめどこ)**を備えています。
- 手前には土間があり、二畳の上段があります。
- 正面の床柱には、南天が用いられています。
仁和寺(にんなじ)
遼廓亭(りょうかくてい)
- 概要: 右京区にある仁和寺の茶室です。
- 移築経緯: かつて仁和寺の門前にあった、絵師・尾形光琳の屋敷から移築されたものです。
- 意匠: その洗練された室内の意匠は、織田有楽斎好みの名席「如庵」に範をとったものとされています。
これらの茶室は、それぞれの時代や作庭者の美意識、そして茶の湯の精神が色濃く反映された、まさに日本の文化遺産です。京都を訪れる際は、ぜひこれらの名席に思いを馳せてみてください。
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前述の練習問題の解答☆
- 忘筌(ぼうせん)
- 安閑窟(あんかんくつ)
- 土間廊下
- 伏見城
- 足利義政
- 待庵(たいあん)
- 如庵(じょあん)
- 夕方に金閣が夕日に映える眺望
- 南天(なんてん)
- 尾形光琳(おがた こうりん)