コロナ禍で始まった高齢者介護と家族の絆:2020年春の記録#744【介護日記#005】

2020年の春、まだ寒さが残る3月。京都にある地域包括支援センターでの相談を経て、いよいよ両親の介護と本格的に向き合う時期が近づいてきたと実感していました。ところがその矢先、日本全体が緊迫した社会情勢に包まれていきます。

それは、新型コロナウイルスの急速な拡大、いわゆる「コロナ禍」の始まりでした。

3月23日・24日には仕事も兼ねて京都・関西を訪れた記録が残っています。しかし、その直後には安倍首相による「緊急事態宣言」が発表され、状況は一変。東京で暮らす我が家でも、長男が迎えるはずだった卒園式や入学式が、これまでにない異例の形で実施されることになります。

卒園式は中止、小学校の入学式はマスク着用のうえで保護者のみが参加可能という形に。さらに、翌日からは休校措置が取られ、自宅待機を余儀なくされる日々が始まりました。

オンライン帰省という新たな家族の形

そのような中、3月を最後に京都の両親とは会えず、連絡は電話のみ。例年ならゴールデンウィークを利用して孫を連れて帰省していたところですが、2020年は政府の推奨する「オンライン帰省」に挑戦することに。

iPadを購入して京都の実家に送り、妻が丁寧にまとめた「オンライン帰省マニュアル」を使って、ZOOMの設定を高齢の父にお願いしました。比較的機械に強いとはいえ、80代後半の父にとってログインIDやパスワードの入力は一苦労。うまく接続できずに「もう堪忍してくれ、声が聞けるだけで充分や」と電話口で涙ぐんでいた父の声が、今でも忘れられません。

情報に翻弄された親世代の不安

両親は、戦後の高度経済成長期に「三種の神器」と呼ばれたカラーテレビの時代を生きてきた世代。毎日テレビをつけ、ニュースを欠かさず見る生活スタイルの中で、「新規感染者数」や「医療逼迫」などの報道を頼りにしていました。そんなニュースばかりが流れる中、遠く東京で暮らす私たち家族のことを常に心配していたのだと思います。

一方で私も、政府から支給された「アベノマスク」を受け取ったであろう高齢の両親の暮らしを想像しながら、どうにか京都へ帰省できないかと模索する日々が続きました。

こうして迎えた2020年の5月、そして6月。私たち家族にとって、「新しい生活様式」とともに始まった高齢者介護と家族のつながりの在り方は、今も大きな学びとなっています。

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京都市出身、現在は東京都江東区に住まい、妻と一緒に小学生&保育園の二人の子育て中。両親の介護で京都との二拠点生活です。
「野菜作りを楽しむ」をコンセプトにした家庭菜園や農体験の運営を仕事として10年やってきました。今は独立して様々な情報発信などのお仕事と、不動産の管理などをしています。

2025年6月18日

Posted by m3-f.site