🌲【京の木材の物語】知られざる京都の「〇〇杉」の魅力:丹波、美山、夜久野の杉をめぐる旅#1066
京都の雅な景色や伝統建築を支える「京の木材」。丹波・美山・夜久野といった地域で育まれた「〇〇杉」は、それぞれ異なる歴史と物語を持っています。数寄屋建築を支えた銘木から、漆の里の変遷まで、知られざる京都の杉の魅力を深く掘り下げます。
- 戦後の数寄屋ブームを背景に、京都市北区中川以外の地域で生産されるようになった磨き丸太は、中川の「地山丸太」と区別して何と呼ばれていますか?
- 丹波杉が「地山丸太」と区別され、その生産が拡大するきっかけとなった、茶室などに見られる洗練された建築様式の流行は何ですか?
- 美山杉の産地である京都府南丹市美山町は、その面積の約何パーセントが山林によって占められていますか?(数字のみで回答してください。)
- 福知山市夜久野(旧天田郡)が、杉やヒノキの植林以前、昭和初期まで主要な産地として栄えていた伝統工芸品の原料は何ですか?
- 夜久野において、昭和初期まで主要な産物であった「丹波漆」の需要が戦後に減少した主な原因の一つとして、海外から台頭してきたものは何ですか?
☆回答は記事の最後にあります。
はじめに:古都を彩る「〇〇杉」の物語
京都というと、寺社仏閣の雅な風景や伝統工芸品が思い浮かびますが、その美しさを支える重要な要素の一つが木材です。
特に「〇〇杉」という名で呼ばれる各地の杉は、それぞれの風土と歴史の中で育まれ、独特の用途や物語を持っています。今回は、京都の山々が育んだ丹波杉、美山杉、夜久野杉にスポットを当て、その魅力と歴史を紐解いていきましょう。
🪵 丹波杉(たんばすぎ):数寄屋建築を支えた銘木
【「中川丸太」との違い】
「丹波杉」という名前は、京都の木材として非常に有名ですが、実は細かく区分されています。
- 中川の「地山丸太(じやままるた)」:京都市北区中川地区で古くから生産されている、特に格式高い磨き丸太。
- 中川以外の「丹波杉(丹波物)」:戦後の数寄屋ブームで、中川以外の丹波地域(主に京都市右京区や亀岡市など)でも磨き丸太が生産されるようになり、これらが「丹波杉」や「丹波物」として区別されるようになりました。
【歴史の背景】
戦後の**数寄屋建築(茶室などの洗練された建築様式)**ブームをきっかけに、磨き丸太の需要が急増。これにより、中川以外の地域でも丸太生産が盛んになり、京都の伝統建築を支える木材として広く知られるようになりました。
⛰️ 美山杉(みやますぎ):山林に抱かれた豊かな恵み
【産地の特徴】
美山杉が育つのは、京都府南丹市美山町(旧北桑田郡)です。この地域は、面積の94%が山林という自然豊かな場所。
【林業の営み】
その広大な山林を活かし、古くから杉やヒノキなどが盛んに植林されてきました。豊かな山と清流に恵まれた美山町は、今も京都の木材供給地として重要な役割を担っています。美山産の木材は、美しい自然の中でゆっくりと育つため、品質の高さに定評があります。
🌙 夜久野杉(やくのすぎ):漆の里から木材の産地へ
【歴史の変遷】
京都府福知山市夜久野(旧天田郡)は、かつて木材よりも**「丹波漆(たんばうるし)」**の産地として知られていました。
- 昭和初期までは漆の生産で栄えていましたが、戦後は日本の漆需要の減少や安価な中国産漆の台頭により、往時の面影は失われていきました。
【現代の姿】
漆に代わり、戦後からは杉やヒノキが植林されるようになり、現在は品質の良い木材の産地として知られています。夜久野の歴史は、時代の変化とともに産業が移り変わる、山村の物語を今に伝えています。
おわりに:杉から見える京都の歴史と文化
丹波杉の洗練された用途、美山杉の豊かな自然、そして夜久野杉の産業変遷の物語。それぞれの「〇〇杉」を知ることは、京都の地理、歴史、そして文化の奥深さを知ることにつながります。
古都の風情を形づくる木の文化に、ぜひ想いを馳せてみてください。
あわせて読みたい記事
おすすめの書籍
今回のブログ記事前後の関連記事
- 丹波杉(または丹波物)
- 数寄屋建築(または数寄屋ブーム)
- 94(または 94%)
- 丹波漆(または漆)
- 中国産漆(または中国産)