【親の介護と再会の記録】実家の片付け中、幼馴染のお母さんが訪ねてきた話 #909 介護振り返りnote105
2024年のある日、僕は京都の実家で片付けをしていました。高齢の両親がサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に引っ越したため、実家には僕だけが出入りしており、その日は面会の準備も兼ねての滞在でした。
そんな中、不意にインターホンが鳴りました。出てみると、そこに立っていたのは僕の幼馴染のお母さん。実家のすぐ目の前に住んでいて、子どもの頃からよく知る存在ですが、ここ数年は挨拶すら交わしていませんでした。

僕の母が36歳の時に僕を産んだのに対し、このお母さんは20代で子どもを授かっていたため、昔は「若いお母さん」という印象が強く残っています。
「お母さんに会いたい」――その想いから始まった小さな旅
会いに来てくれた理由は、とても温かいものでした。
「お母さんに会いたいねん。サ高住まで連れて行ってほしい」
と。
実は、僕の母とこのお母さんは、僕たち子どもが巣立ったあと、バスツアーに出かけるなどの交流を楽しんでいたそうです。母が認知症を発症し、サ高住に引っ越してからも、気にかけてくれていたことが伝わってきました。
僕の中で一瞬よぎったのは、「もしこのお願いを断って、二度と会えないことになったら、きっと後悔する」という想いでした。だから、迷わずこう返しました。
「わかりました、ぜひ行きましょう」
もともと自転車で行く予定でしたが、急遽カーシェアに切り替え、僕の運転で東山区から下京区のサ高住まで向かうことにしました。まさに、小さな再会のためのプチドライブです。
久しぶりの会話と、母の笑顔
車内では、昔話からお互いの近況まで、たくさんの話をしました。聞けば、このお母さんもついに「後期高齢者」になったそうで、僕の母より7歳年下とのこと。
サ高住には父も暮らしていますが、90歳を過ぎ、足腰も弱っているので、今回は母との再会だけに。近くのスタバで待ち合わせ、母を連れて行く形にしました。
認知症が進んだ母は、短期記憶がほとんどできません。けれども、昔の記憶は不思議と鮮明に残っていて、このお母さんのこともすぐに思い出してくれました。
「あぁ、どうしたん、嬉しいなぁ」
と笑い、何度も同じ話を繰り返しながらも、楽しそうに会話をしていました。
数分後にはまた忘れてしまう母ですが、そのひとときには確かに温かな時間が流れていたと思います。認知症の母にとっても、幼馴染のお母さんにとっても、きっと忘れがたい再会になったのではないでしょうか。
【まとめ】実家の片付けと親の介護、そして人とのつながり
今回の出来事を通して、親の介護や認知症との向き合い方、人とのつながりの大切さを改めて感じました。実家の片付けやサ高住への出入りといった日常のなかで、こんなにも温かい再会があるとは思っていませんでした。
もし、同じように実家の整理や親の介護に関わっている方がいれば、こんなふうに**「会いたい」と思ってくれる人との再会の場を作ることも、大切な支援の一つ**になるかもしれません。

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