【体験談】認知症の母と携帯電話〜迷惑メール対策と解約の判断〜#907 mission103
2025年春、急な予定変更で京都に住む両親のもとへ駆けつけることになりました。
きっかけは、父からの一本の電話でした。
「お母さんの携帯電話、解約してくれへんか」
話を聞くと、いくつかの心配事が重なっていたのです。
母の携帯に増えた「当選メール」
僕の母は、長年ガラケーを使っていました。
もともと機械に強いタイプではなく、連絡先も家族とサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の関係者だけ。認知症の症状が出始めてからは、さらにシンプルに使っていたようです。
ところが最近、迷惑メールが届くように。
「○○に当選しました!詳細はこちら」
そんなメールを見ては、「やった!当たったよ!」と父に見せに来るようになっていました。
母は操作に不慣れなうえ、父が「それは詐欺メールだから」と説明しても、なかなか理解できません。
サ高住のスタッフさんからも「被害に遭う前に携帯を解約した方がいいのでは」と助言があったそうです。

僕も迷惑メールには気づいていたけれど
実は、僕自身も以前から母の携帯に届く迷惑メールを気にしていました。
たまに確認しては削除したり、迷惑メールとして報告したりしていました。
ただ、母の状態を考えると、詐欺メールに反応して振り込むとか、相手とスムーズに電話でやりとりしてしまうという心配は少ないとも感じていました。
とはいえ、父の不安もよくわかります。
解約よりも安全で、母にもやさしい方法を考えた
父からの相談を受けて、僕は予定を調整し、すぐに京都へ向かいました。
移動中、ずっと考えていました。
本当に解約が正解なんだろうか?
母にとって、長年使ってきた携帯電話は「お守り」のような存在だったはずです。
突然なくなれば、「盗られた」「どこに行った」といった混乱を招くかもしれません。
さらに、母の契約が家族のスマホやWi-Fiの親回線になっていた可能性もあり、完全な解約はリスクがあると感じました。
僕が選んだのは「SIMカードを抜く」という方法
そこで思いついたのが、SIMカードを抜き取るという対処法です。
実際、母はここ数か月ほとんど携帯を使っていませんでした。
電話もしない、メールもしないなら、通信機能がなくても問題ないと判断しました。
母に会って、やさしく伝えます。
「もうしばらく使ってないし、この携帯もだいぶ古くなったね」
そう言って、そっとSIMカードを抜きました。
契約は継続したままなので、必要ならいつでも再開できます。
父とスタッフの安心、そして母の安心感
父にはこの対応を報告。
・詐欺被害の心配がなくなった
・迷惑メールに対応するストレスが減った
という点で、十分納得してもらえました。
サ高住の管理者さんからも、
「携帯電話そのものはお母さまの手元にあった方が安心ですから、それがベストだと思います」
と言っていただけて、僕もホッとしました。
終わりに:認知症とスマホ・携帯電話の付き合い方
今回の件で、認知症の家族と携帯電話の付き合い方は、解約する・しないの二択だけじゃないということを改めて実感しました。
「使わなくても持っていることが安心」
そんな状況もあるのだと思います。
同じような悩みを抱えるご家族の参考になれば幸いです。

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