限界を感じた遠距離介護のリアル──父の異変とその後の対応#838 介護振り返りnote034
限界が見えはじめていた両親の老々介護。そして僕の遠距離からの介護オペレーション。
2023年10月、帰省中に印象的な出来事がありました。
当時は、月曜と火曜に関西で軽めの仕事を入れ、水曜に訪問看護に立ち会ってから東京に戻る、というスケジュールを2週に1回か3週に1回で組んでいました。
以前なら、帰省直前や数日前に「○日に帰るよ」と伝えるだけで通じていたのですが、今はそうもいかず、予定をその場で決めてカレンダーに記入し、実家を後にするようになっていました。
とはいえ、母の妄想混じりの記憶で「息子が別の日に帰るって言ってた」と思い込まれ、書いた日付が勝手に変更されていたこともありました(笑)
そんなある水曜日、訪問看護が無事に終わり、看護師さんを見送ったあとでした。
父がビールを飲もうと冷蔵庫に向かったのですが、様子が明らかにおかしい。缶ビールを手にしたままカウンターテーブルに手をつき、ピタッと動かなくなったんです。目は見開き気味で、意識がぼんやりしているように見えました。
「どうした?大丈夫?」と声をかけると、「あ、おぉう」と曖昧な返事。脚が動かない様子でした。
僕と母で肩を貸し、数歩の距離にあるお気に入りの座椅子までなんとか移動。そこに座らせると、しばらくして父は普通に話せるように戻っていました。
正直、その時は「このまま東京に戻るのは無理かも」とも思ったのですが、父が「大丈夫、気にしなくていい」と言ってくれたため、後ろ髪を引かれつつ東京へ戻りました。
この距離感は、親子ならではの絶妙なバランスが必要だと思います。遠隔介護をしている理由も、「気にはかけてほしいけど、ベッタリは困る。子どもにはあまり心配をかけたくない」という両親の気持ちが根底にあるのだと、僕は感じています。
必要な時はすぐに飛んでいくけれど、「大丈夫」と言われたら任せる。それが、僕の遠隔介護スタンスなのです。

今回は大事には至りませんでしたが、もし階段であの症状が出ていたら、手すりだけでは危険だったかもしれない。僕や母が近くにいない場所で起きていたら…そう考えると、ゾッとする出来事でした。

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