【京都・嵯峨野の悲恋】滝口入道と横笛―平家物語が語る「滝口寺」の物語#1148
華やかな平家全盛の時代、身分違いの恋に悩み、出家を選んだ若き武士がいました。その名は斎藤時頼、のちの「滝口入道」。彼が隠棲した嵯峨の「滝口寺」に残る、横笛との切ない恋の足跡をたどります。
- 第1問: 斎藤時頼が仕えていた、平清盛の長男は誰か?
- 第2問: 時頼の職名であり、のちの法名の由来ともなった、内裏の警護などを行う武士の呼称を何というか?
- 第3問: 時頼と恋仲であった、建礼門院(平徳子)に仕えた雑仕女の名前は何か?
- 第4問: 滝口入道と横笛の悲恋が描かれている、軍記物語の傑作といえば何か?
- 第5問: 滝口入道が隠棲した「往生院」の子院・三宝寺を前身とする、現在の嵯峨野にある寺院名は何か?
☆回答は記事の最後にあります。
1. 斎藤時頼と「滝口」という職分
物語の主人公、**斎藤時頼(さいとうときより)**は、平安時代後期の武士です。彼は平清盛の長男・重盛に仕えていました。
時頼が13歳の時、配属されたのが**「滝口(たきぐち)」**という部署です。
- 滝口とは: 御所(清涼殿)の北東、内裏で使った水が流れ落ちてくる場所を指します。
- 滝口の武士: その場所を詰所として、天皇の身辺警護や雑役を担ったエリート武士たちの呼称です。
この職名が、のちに彼が「滝口入道」と呼ばれる由来となりました。
2. 横笛との出会いと、引き裂かれた恋
時頼は、ある夜の宴で、建礼門院(平徳子)に仕える雑仕女(ぞうしめ)の**「横笛(よこぶえ)」**を見初めます。二人は深く愛し合うようになりますが、時頼の父・茂頼は「名門の家柄でもない女を妻にするとは何事か」と、二人の仲を猛烈に反対しました。
父の言葉に絶望し、世の無常を感じた時頼は、わずか19歳で髻(もとどり)を切り、周囲に何も告げずに出家してしまいます。
3. 嵯峨野の隠棲地「滝口寺」
出家した時頼は「滝口入道」と名乗り、嵯峨野の奥にある**往生院(おうじょういん)**で修行に励みます。
それを聞きつけた横笛は、険しい道を通って彼を訪ねてきましたが、修行の妨げになると考えた時頼は、涙を飲んで「ここにはそのような者はおりません」と追い返してしまいました。
- 往生院と滝口寺: かつて法然上人の門弟が開いた往生院は広大な寺院でしたが、のちに衰退。その子院であった**「三宝寺」が、現在は「滝口寺」**としてその名を残しています。
4. 悲恋の結末とその後
自分に会ってくれない時頼を恨むことなく、横笛は近くの大堰川(おおいがわ)に身を投げたとも、あるいは奈良の法華寺で出家したとも伝えられています。
横笛が去ったことを知った時頼は、さらに修行に打ち込むため、女人禁制の地である高野山へと移り、一生を仏道に捧げました。
5. 京都観光・検定のポイント
- 平家物語 巻第十「横笛」: この物語の詳細が記されている章です。
- 滝口寺の場所: 嵯峨野の「奥嵯峨」エリア、祇王寺のすぐ隣に位置します。
- 恋文の塚: 滝口寺の境内には、横笛が筆の代わりに指で書いたとされる歌碑や、二人の供養塔が静かに並んでいます。

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- 第1問: 平重盛
- 第2問: 滝口(滝口の武士)
- 第3問: 横笛
- 第4問: 平家物語
- 第5問: 滝口寺

