🎨 古都の美を紡いだ筆致:京都ゆかりの歴史に残る画家たち#1075

京都の歴史は、多くの偉大な画家たちの活躍によって彩られてきました。この記事では、水墨画を極めた禅僧、宮廷文化を支えた絵師、そして市場から異彩を放った画家まで、「京都ゆかりの歴史に残る画家たち」をご紹介します。彼らの作品やエピソードを知ることで、古都の美を深く感じてみませんか。

この記事内容から抜粋した練習問題10問☆
  1. 室町時代前期の画僧で、妙心寺塔頭の退蔵院にある国宝「瓢鮎図」を描いたとされる画家は誰か。
  2. 「瓢鮎図」に描かれている、瓢箪で捕らえようとするウロコのない魚は何か。
  3. 大徳寺の一休宗純から「ぼっけい」の号を授けられた、15世紀半ばの曽我派の創始者とされる画家は誰か。
  4. 室町時代後期の画家で、父に能阿弥、子に相阿弥を持つ、「阿弥派」の中心人物は誰か。
  5. 芸阿弥が画家、鑑定家を兼ねて幕府に仕えた職種集団(身分)を何というか。
  6. 室町時代前期の画僧で、如拙に絵を学び、幕府の使節に同行して朝鮮に渡った画家は誰か。
  7. 周文の代表作の一つで、「ちくさいどくしょず」と読むのは何か。
  8. 室町時代後期の画家で、宮廷の絵所預と室町幕府の絵師を兼ね、土佐派の権威を高めたのは誰か。
  9. 土佐光信の代表作とされる、重要文化財の絵巻物を二つ挙げよ。
  10. 錦小路の青物問屋に生まれ、「動植綵絵」や「群鶏図」など、動植物画で知られる江戸時代の画家は誰か。

☆回答は記事の最後にあります。

京都は、多くの芸術家が活躍し、日本の美術史に大きな足跡を残した地です。ここでは、京都と深いゆかりを持ち、その才能が時代を超えて評価される画家たちをご紹介します。


🖼️ 水墨画の隆盛を築いた禅僧・画僧

周文(しゅうぶん)

室町時代前期(15世紀前半頃)に活躍した画僧です。

  • 相国寺(しょうこくじ)の役僧であり、**如拙(にょせつ)**に絵画を学びました。
  • 室町幕府の使節として朝鮮に渡り、その画法は朝鮮の役人からも賞賛されています。
  • 代表的な作品に、『竹斎読書図(ちくさいどくしょず)』、**『水色巒光図(すいしょくらんこうず)』があります。相国寺の塔頭、慈照院には「山水画」**が伝わっています。
  • 周文の画風は、後の水墨画に大きな影響を与えました。

如拙(にょせつ)

室町時代前期の画僧で、水墨画の大流行の糸口を開きました。

  • 相国寺に住み、足利将軍家や幕府の美術・造形の作業を担当しました。
  • 南宋の**梁楷(りょうかい)馬遠(ばえん)**などの山水画の手法を取り入れました。
  • 代表作は、妙心寺の塔頭、退蔵院にある**国宝『瓢鮎図(ひょうねんず)』**です。
    • これは、**「うろこのない、ぬるぬるとしたなまずを瓢箪でとらえる」という禅問答のような難題をテーマに、当時の将軍足利義持(あしかがよしもち)**の座右の小屏風として描かれました。
    • 如拙が描いた絵に、当時の京五山の禅僧31人が「解決策」を記した賛文を書いています。

墨溪、等楊

15世紀半ばの画家で、曽我派(そがは)の創始者とされます。

  • **大徳寺の一休宗純(いっきゅうそうじゅん)**から「ぼっけい」の号を授けられました。
  • 大徳寺の塔頭、**真珠庵(しんじゅあん)「達磨図(だるまず)」**が残されています。

🏛️ 幕府に仕えた芸術家:阿弥派の系譜

芸阿弥(げいあみ)

室町時代後期の画家で、**室町幕府に仕えた芸能者(同朋衆:どうぼうしゅう)**の一人です。

  • 永享3年(1431年)から文明17年(1485年)に活躍しました。
  • 父が能阿弥(のうあみ)、子が**相阿弥(そうあみ)であり、この三代を「三阿弥(さんあみ)」と呼びます。彼らとその周辺の芸能者を含めた絵画の流派を「阿弥派」**と称します。
  • **真芸(しんげい)**とも称し、**学叟(がくそう)**と号しました。
  • 画家としてだけでなく、鑑定家を兼ね、連歌香道、**座敷飾(室内装飾)**など、幅広い分野で才能を発揮しました。
  • 代表作に**重要文化財『観瀑僧図(かんばくそうず)』**があります。

📜 宮廷絵所の伝統と革新

土佐光信(とさみつのぶ)

室町時代後期の画家で、土佐派の権威を確立しました。

  • 宮廷の絵所預(えどころあずかり)と室町幕府の絵師を兼任し、土佐派の地位を飛躍的に高めました。
  • **大和絵(やまとえ)**の伝統的な画法に、漢画の線描などを取り入れた独自の様式を確立しました。
  • 代表作に**重要文化財『清水寺縁起絵巻』『北野天神縁起』**などがあります。

🥬 異才の絵師:京の市場から生まれた個性

伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)

江戸時代中期の画家で、動植物画の分野で特に知られています。

  • **錦小路(にしきこうじ)にある青物問屋(八百屋)**の長男として京都に生まれました。
  • 精緻で色彩豊かな**『動植綵絵(どうしょくさいえ)』や、躍動感あふれる『群鶏図(ぐんけいず)』**など、強烈な個性と独創性に満ちた作品を数多く残しました。

この備忘録が、これから京都の歴史と美術を学ぶ上で役立つことを願っています!

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この記事を書いた人
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ロスジェネ40代の、あれこれ記録帳を運営しています。
京都市出身、現在は東京都江東区に住まい、妻と一緒に小学生&保育園の二人の子育て中。両親の介護で京都との二拠点生活です。
「野菜作りを楽しむ」をコンセプトにした家庭菜園や農体験の運営を仕事として10年やってきました。今は独立して様々な情報発信などのお仕事と、不動産の管理などをしています。

前述の練習問題の解答☆
  1. 如拙(にょせつ)
  2. なまず(鯰)
  3. ぼっけい(墨溪、等楊)
  4. 芸阿弥(げいあみ)
  5. 同朋衆(どうぼうしゅう)
  6. 周文(しゅうぶん)
  7. 竹斎読書図(ちくさいどくしょず)
  8. 土佐光信(とさみつのぶ)
  9. 清水寺縁起絵巻、北野天神縁起
  10. 伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)

Posted by ロスジェネ40代の、あれこれ記録帳