【京都・庭園の美】お寺の鐘が手水鉢に?「袈裟型手水鉢」の粋な見かた#1165
京都の寺院を巡っていると、ふと足元にある手水鉢のデザインに目を奪われることがあります。中でも「袈裟(けさ)型」は、お寺の鐘を再利用したというユニークな成り立ちを持つ意匠です。
- 袈裟型の手水鉢は、もともとどのような工芸品を再利用したり、その形を模したりして作られたものですか?
- 袈裟型の手水鉢の側面に刻まれている、縦横に仕切る筋のことを何と呼びますか?
- 「袈裟襷」という名称は、その文様がどのような人の衣服に似ていることから名付けられましたか?
- 江戸時代初期の文化人・小堀遠州ゆかりの寺院で、独特な「袈裟型手水鉢」があることで知られる洛北の門跡寺院はどこですか?
- 古くなった道具などを、本来の用途とは別のものとして活用する、日本庭園や茶道における文化的な考え方を何と言いますか?
☆回答は記事の最後にあります。
今回は、知れば庭園歩きがもっと楽しくなる「袈裟型手水鉢」の見どころと、そこに込められた「見立て」の心を解説します。
袈裟型手水鉢とは?
京都の露地(茶庭)や寺院の庭園でよく見かけられる、円柱形の手水鉢の一種です。
最大の特徴は、その名の通り表面に**「袈裟襷(けさだすき)」**を模した装飾があることです。
もともとは、古くなった**和鐘(わしょう/お寺の鐘)**を逆さまにして再利用したり、その形を模して石で造ったりしたことからこの名がつきました。
意匠のポイント:袈裟襷(けさだすき)
「袈裟型」を見分ける最大のポイントは、鉢の側面に刻まれたラインです。
- 袈裟襷(けさだすき)とは:和鐘の外側を縦横に仕切っている筋のこと。僧侶が身にまとう「袈裟」の文様に似ていることからこう呼ばれます。
- デザインの特徴:鉢の上部と下部に水平な筋が走り、それを繋ぐように垂直の筋が配されています。この格子状の装飾が、シンプルながらも凛とした宗教的な美しさを醸し出しています。
なぜ「鐘」の形なのか
古来、京都の人々は使い古されたものに新しい命を吹き込む**「見立て」**の文化を大切にしてきました。
役目を終えた重厚な鐘を、清らかな水を湛える手水鉢へと転生させる。その背景には、単なるリサイクル以上の、禅の心や風流な遊び心が隠されています。石造りのものであっても、わざわざ鐘の装飾を再現するのは、その「由来」や「物語」を愛でるためなのです。
京都で見られる主なスポット
京都検定の勉強や寺院巡りの際は、ぜひ以下の場所で実物をチェックしてみてください。
| 寺院名 | 特徴 |
| 龍安寺 | 有名な「知足の図案(吾唯足知)」の手水鉢も円形ですが、意匠に注目してみると面白い発見があります。 |
| 曼殊院 | 「曼殊院型」と呼ばれる独特の袈裟型手水鉢があり、非常に有名です。 |
| 孤篷庵 | 小堀遠州ゆかりの寺院でも、美しい意匠の手水鉢を愛でることができます。 |
結びに:足元に広がる小宇宙
普段は通り過ぎてしまいがちな手水鉢ですが、「これは鐘の形をしているな」と気づくだけで、庭園との対話が一段と深まります。
次に京都の門をくぐるときは、ぜひ視線を少し下げてみてください。そこには、格式高い「袈裟」を纏った石の造形が、静かにあなたを待っているはずです。
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- 和鐘(わしょう) ※「お寺の鐘」でも正解です。
- 袈裟襷(けさだすき)
- 僧侶(そうりょ) ※「お坊さん」でも正解です。
- 曼殊院(まんしゅいん)
- 見立て(みたて)