🎭京の都と能楽の源流を巡る:大和猿楽四座+喜多流を深く知る旅✨#1055

能楽の歴史は、奈良の**「大和猿楽四座」**から始まり、室町時代に京の都で大成されました。本記事では、シテ方五流派(観世・宝生・金春・金剛・喜多)について、その起源、特徴、そして京都との深いつながりを解説。能楽をこれから深く知りたい初心者や、伝統文化を学ぶための必携ガイドです。

この記事内容から抜粋した練習問題10問☆

  1. シテ方五流派の中で、京都に宗家(本拠地)がある唯一の流派はどこですか。
  2. 能楽のシテ方五流に数えられる流派のうち、大和猿楽四座の流れを汲まず、江戸時代初期に発足した流派はどこですか。
  3. 金剛流がかつて所属し、奉仕していた、奈良の寺院の名前を一つ挙げてください。
  4. 大和猿楽四座のうち、**結崎座(ゆうざきざ)**を前身とする流派はどこですか。
  5. 能楽諸座の中で、最古の由緒を持つとされる流派はどこですか。
  6. 観世流を大成した世阿弥が、室町幕府三代将軍として庇護を受けた人物は誰ですか。
  7. 昭和11年に宗家が断絶した金剛流の二十四世を継承し、京都の内裏の能御用を務めた家に由来する家名はどこですか。
  8. 大和猿楽四座のうち、**外山座(とびざ)**の流れを汲んでいる流派はどこですか。
  9. 金春流の座の基礎を築き、世阿弥の娘を妻にした能楽師は誰ですか。
  10. 金剛流の新しい能楽堂が、平成15年(2003年)に開場した京都市内の所在地(通り名と通り名)を答えてください。

☆回答は記事の最後にあります。

これから能楽の魅力に触れたい方へ。日本の伝統芸能の粋である能楽は、室町時代に大成されました。その核となったのが、奈良の**「大和猿楽四座(やまとさるがくよざ)」**です。

京都で活動の中心を築いた座も多く、特に京都にゆかりの深い金剛流、そして最古の歴史を持つ金春流、能楽界の最大流派である観世流、そして華やかさが特徴の宝生流、さらに江戸時代に生まれた喜多流の五流派について、その特徴と歴史を整理します。


💎金剛流:京の都が誇るシテ方五流の一角

シテ方五流(観世・宝生・金春・金剛・喜多)のうち、京都に宗家があるのは唯一、金剛流だけです。

⛩️歴史とルーツ

  • 起源: 奈良の法隆寺に所属・奉仕していた**坂戸座(さかどざ)**という猿楽の座が前身。
  • 流祖:孫太郎氏勝(まごたろううじかつ)
  • 変遷: 室町時代初期に、興福寺に属する大和四座の一座である金剛座となります。

👑名人と宗家継承

  • 戦国時代の名人:氏正(うじまさ)
  • 江戸時代の名人:長瀬(ながせ)
  • 江戸開府に伴い、活動の拠点を江戸に移しましたが、明治維新時には二十一世**金剛氏成(うじしげ)**が活躍しました。
  • 宗家断絶と継承: 昭和11年、二十三世の**金剛氏慧(うじやす)**が宗家断絶を遺言して没しました。その後、京都で内裏の能御用を務め、金剛の姓を許されていた野村家が継承し、**金剛二十四世「金剛巌(こんごういわお)」**が宗家を継ぎました。

🏢京都での拠点

  • 旧能舞台: 明治初年に石清水八幡宮から移築した能舞台が室町四条にありました。
  • 現在の能楽堂: 平成15年(2003年)、新しい金剛流の能楽堂烏丸一条に開場し、京の能楽文化を支えています。

🍂金春流(こんぱる):能楽最古の由緒

能楽諸座のなかで、最も古い由緒を持つのが金春流です。

  • 前身:円満井座(えんまいざ)
  • 座の基礎: 世阿弥の娘を妻にした**禅竹(ぜんちく)**が、この座の基礎を築き、その芸は今日に繋がっています。

🌸観世流:能楽界の盟主と世阿弥の功績

能楽のシテ方五流派の中で、最も大きな勢力を持つ流派です。

  • ルーツ: **観阿弥(かんあみ)**が結成した大和四座の一つ、**結崎座(ゆうざきざ)**が前身。
  • 発祥地: 観阿弥は山田猿楽の家に生まれ、**磯城郡の結崎(現在の奈良県磯城郡)**に出ました。
  • 京での飛躍: 観阿弥・世阿弥の親子が京都に進出し、特に世阿弥が室町幕府三代将軍足利義満の庇護を受けて、能楽を芸術として大成させ、観世流の勢力を築きました。

🌙宝生流:外山座の流れを汲む華やかな芸風

大和猿楽四座の一つであり、その華麗で優美な芸風に特徴があります。

  • 流祖:蓮阿弥(れんあみ)
  • ルーツ: **外山座(とびざ)**の流れを汲んでいます。
  • 隆盛: 室町時代から足利氏、江戸時代には徳川氏に仕え、特に十一代将軍・**家斉(いえなり)に重用された十四世の「英勝(ひでかつ)」**のころから大いに栄えました。

🌟喜多流:江戸時代初期に誕生した新流派

大和猿楽四座の流れを汲まない、独自の流派です。

  • 発足:江戸時代初期に発足した能楽シテ方の一流派です。
  • 現代: 明治以降、上記の四座に加えて能楽シテ方の五座の一つに数えられるようになりました。

📝まとめ:大和猿楽四座

流派名前身の座興福寺における座名主な特徴・歴史的背景
観世流結崎座結崎座観阿弥・世阿弥親子が大成。能楽界最大の流派。
金春流円満井座円満井座能楽諸座のうち最古の由緒。世阿弥の娘婿・禅竹が基礎を固める。
金剛流坂戸座金剛座シテ方五流のうち、唯一京都に宗家がある。法隆寺に所属。
宝生流外山座外山座華やかな芸風。江戸時代に将軍・家斉に重用され栄える。

この五流派の歴史と特徴を学ぶことは、能楽という伝統芸能がどのように発展し、京の都と関わってきたかを理解する上で非常に重要です。

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ロスジェネ40代の、あれこれ記録帳を運営しています。
京都市出身、現在は東京都江東区に住まい、妻と一緒に小学生&保育園の二人の子育て中。両親の介護で京都との二拠点生活です。
「野菜作りを楽しむ」をコンセプトにした家庭菜園や農体験の運営を仕事として10年やってきました。今は独立して様々な情報発信などのお仕事と、不動産の管理などをしています。

前述の練習問題の解答☆
  1. 金剛流
  2. 喜多流
  3. 法隆寺
  4. 観世流
  5. 金春流
  6. 足利義満
  7. 野村家
  8. 宝生流
  9. 禅竹(ぜんちく)
  10. 烏丸一条(からすまいちじょう)

Posted by ロスジェネ40代の、あれこれ記録帳