⛩️✨京の都に息づく神秘の物語:知るともっと面白い「京都の伝説」#1053
京都を訪れるのがもっと楽しくなる、神秘的な物語をご紹介します。絶世の美女・小野小町と深草少将の悲恋「百夜通い」や、武将・源頼光と妖怪の戦い「蜘蛛塚」、そして母の愛が生んだ「幽霊子育て飴」など、京の都に息づく数々の伝説とゆかりの地を巡ります。
この記事内容から抜粋した練習問題10問☆
- 真心・知恵・慈悲の三つの福を授かると伝えられ、永観堂などにゆかりのある、葉が三本に分かれた松の名称を答えなさい。
- 原因不明の重病に苦しむ源頼光の枕元に現れ、退治された蜘蛛の妖怪を弔ったとされる塚の名称を答えなさい。
- 小野小町への想いを遂げるために九十九夜まで通い続けたものの、百夜の達成を前に亡くなってしまったとされる架空の人物の名前を答えなさい。
- 三条通り麩屋町東入りの弁慶石町にその名が残され、豪傑・武蔵坊弁慶にゆかりがあると伝えられる岩の名前を答えなさい。
- 身ごもったまま亡くなった女性の幽霊が、墓で生きていたわが子に買い与えていたという伝説が残る、京都の銘菓を答えなさい。
☆回答は記事の最後にあります。
京都の歴史を彩るのは、美しい寺社仏閣や雅な文化だけではありません。人々の口を通して語り継がれてきた、ちょっぴり不思議でロマンチック、あるいはぞっとするような「伝説」が、この街の魅力をより一層深めています。
訪れるのがもっと楽しくなる、京都に残る数々の伝説をご紹介します。
目次
🍀三鈷の松(さんこのまつ)の伝説:三つの福を授かる吉兆
京都を代表する名所にも、人知を超えたパワーを持つ松の木があります。
- 三鈷(さんこ)とは: 仏教の法具の一つで、先端が三つに分かれた金剛杵のこと。
- 伝説の由来: 通常、松の葉は二本一組ですが、この伝説に登場する松は、まるで三鈷杵のように三本に分かれた葉を持ちます。
- 授かる福: この珍しい松葉を持つ者は、仏教の教えで重要とされる「真心(しんしん)・智慧(ちえ)・慈悲(じひ)」の三つの福を授かると言われています。
- ゆかりの場所:
- 永観堂(禅林寺)の松
- 高野山(和歌山県ですが、弘法大師空海ゆかりの地として有名です)
この松葉を見つけたら、大切に持っておきたいですね。
🕷️蜘蛛塚(くもづか)の伝説:病に苦しむ英雄を襲った妖の正体
平安時代の武将、源頼光(みなもとのよりみつ)にまつわる、病と妖怪退治の伝説です。
- 伝説のあらすじ:
- 源頼光が原因不明の重病に苦しんでいた際、夜な夜な枕元に現れ悩ませた怪しい法師がいました。
- 頼光が法師を斬りつけると、その正体は巨大な蜘蛛の妖怪(土蜘蛛)だったことが判明し、討伐されました。
- この討伐された蜘蛛を弔ったとされるのが「蜘蛛塚」です。
- ゆかりの場所:
- 北野天満宮の参道の西側にある東向観音寺(とうこうかんのんじ)
- **上品蓮台寺(じょうぼんれんだいじ)**にも伝承があります。
🌸百夜通い(ももよがよい)の伝説:切ない愛の成就と挫折
誰もが知る絶世の美女、小野小町(おののこまち)にまつわる、悲恋の物語です。
- 登場人物:
- 小野小町: 平安時代の歌人。
- 深草少将(ふかくさのしょうしょう): 歌物語や謡曲に登場する架空の人物。四位少将とも呼ばれます。
- 【補足】「少将」は官職名(正五位下相当)。格別の功績で少将のまま四位に昇進することを「叙留(じょりゅう)」と言います。
- 伝説のあらすじ:
- 小町に熱烈に恋をした深草少将は、「百夜(ももよ)連続で通い続けたら、あなたの愛を受け入れましょう」という条件を小町から突きつけられます。
- 少将は雨の日も風の日も通い続けましたが、九十九夜目に力尽きて亡くなってしまいます。
- 物語のポイント:
- 少将は百夜通いを達成できず、小町の想いを遂げることができませんでした。
- この伝説は、小野小町の男性拒否のイメージを象徴するものとして広まりました。
- 特に、**謡曲『通小町(かよいこまち)』**において、二人の悲しいつながりが深く語られています。
🪨弁慶石(べんけいいし):豪傑の怪力とゆかりの岩
三条通りの路地裏にひっそりと残る、豪傑・武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)ゆかりのパワーストーンです。
- 場所: 三条通り麩屋町(ふやちょう)東入るの弁慶石町という町名に残されています。
- 伝説:
- この大きな岩は、弁慶の怪力によって奥州(東北地方)から京都へ運ばれてきたと伝えられています。
- あるいは、弁慶が座った、腰かけた、力比べをしたなど、弁慶にゆかりのある岩とされ、町の名前の由来となっています。
🍼幽霊子育て飴(ゆうれいこそだてあめ):母の愛が生んだ奇跡の味
京都を代表する土産物の一つにもなっている、切なくも温かい親子の愛の物語です。
- 伝説のあらすじ:
- 江戸時代のはじめ、身ごもったまま亡くなった女性がいました。
- しばらくして、夜な夜な彼女の墓のあたりから赤ん坊の泣き声が聞こえるようになりました。
- 驚いた夫が墓を掘り返すと、わが子が元気に生きていたのです。
- 同時に、近くの飴屋には、毎晩決まった時間に飴を買いに来る青白い顔の女性がいました。
- 赤ん坊が掘り起こされた日を境に、女性は飴を買いに来なくなりました。
- 真相: 母親の幽霊が、わが子に飲ませる母乳の代わりに、飴を買い与えていたのです。
- 飴の特徴: 今も販売されている「幽霊子育て飴」は、べっこう飴に似た、上品で優しい甘みが特徴です。
ぜひ、これらの伝説の地を訪れる際は、物語に思いを馳せてみてください。

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前述の練習問題の解答☆
- 三鈷の松(さんこのまつ)
- 蜘蛛塚(くもづか)
- 深草少将(ふかくさのしょうしょう)
- 弁慶石(べんけいいし)
- 幽霊子育て飴(ゆうれいこそだてあめ)
