🏞️ 【水面に映る古都の魅力】京都の歴史と自然が息づく美しい「池」たち#1041
古都の魅力を水面に映す「京都の池」。広沢池の雅な月見、深泥が池の太古から続く奇跡の生態系、そして宝が池の国際色豊かな景観。歴史と自然が息づくこれらの水辺は、京都の奥行きを知るための重要なスポットです。これから京都の魅力を深掘りしたい人、そして京都検定を目指す人のための備忘録として、三つの池の情報を分かりやすくご紹介します。
この記事内容から抜粋した練習問題5問☆
- 嵯峨にある広沢池は、10世紀の終わりごろに遍照寺を建立したある僧正が造成したとされています。この僧正の名前を漢字で記述してください。
- 「御菩薩池」とも表記される深泥が池の生物群集は、特に何時代の植物であるミツガシワが生育していることから、学術的に非常に貴重であるとされていますか。
- 深泥が池の水面に浮かび、池の生態系の大きな特徴となっている、コケ類などによって形成された島状の物体を何と呼びますか。
- 江戸時代中期に造成された宝が池は、現在、周辺に国際的な会議が開かれる施設が立地しています。この施設の正式名称を記述してください。
- 広沢池が特に有名な名所として知られている、秋の自然現象は何ですか。
☆回答は記事の最後にあります。
京都には、古来より人々の生活や文化と深く結びついてきた、歴史と豊かな自然を持つ美しい池が点在しています。単なる水辺としてだけでなく、貴重な生態系や雅な風景を今に伝える、そんな京都を彩る三つの池をご紹介します。
目次
🟢 広沢池(ひろさわのいけ):嵯峨野に広がる月見の名所
広沢池は、京都市右京区嵯峨野にある灌漑用のため池です。
- 歴史の始まり: 10世紀の終わりごろ、**寛朝僧正(かんじょう)がこの地に遍照寺(へんじょうじ)**を建立した際に造成されました。古くから農耕を支える重要な水源であったことが分かります。
- 景観の美しさ: 昔から風光明媚な場所として知られており、特に秋の月見の名所として有名です。水面に映る月は、訪れる人々に雅な趣を与えてくれます。

🌿 深泥が池(みどろがいけ):太古の生命を宿す奇跡の湿地帯
京都市左京区にある深泥が池は、「御菩薩池」とも書かれ、その特異な環境から「生きた化石」とも呼ばれる貴重な場所です。
- 天然記念物: 非常に貴重な湿地帯であり、1万年以上も昔のウルム氷期の植物であるミツガシワなどが生育しています。
- この貴重な生態系は、昭和2年に「深泥池水生植物群落」として国の天然記念物に指定されました。
- さらに植物だけでなく動物も含めた貴重な種が生存していることから、昭和63年に「深泥池生物群集」と名称が変更されました。
- 環境の特徴:
- もともと砂礫によって水がせき止められてできた浅い池でした。ジュンサイ、ヒメコウホネ、タヌキモなどの水草が見られます。
- 農耕の発展に伴い、南側に堤防が築かれたことで池が深くなり、現在は水深2.3mに達し、底には泥土層が堆積しています。
- ハリミズゴケやオオミズゴケなどにより形成された大量の浮島が特徴的です。
- 見どころ: 春には氷期の生き残りであるミツガシワが可憐な白い花を咲き乱れさせます。
🌲 宝が池(たからがいけ):国際交流の舞台となる市民の憩いの場
京都市左京区の松ヶ崎に位置する宝が池は、市民に親しまれる自然豊かな公園の中心にある池です。
- ため池としての役割: こちらも広沢池と同様に、江戸時代中期に造成された灌漑用のため池がもとになっています。
- 都市計画上の重要性: 現在は、周辺地域が風致地区や歴史的風土保存区域に指定されており、京都の美しい景観を守る役割を担っています。
- ランドマーク: 周辺には国際的な会議の場となる国立京都国際会館があり、自然と現代建築が調和した独特の景観を作り出しています。
💡 備忘録のポイントまとめ
| 池の名称 | 所在地(おおよそ) | 成立時期・背景 | 特徴・見どころ |
| 広沢池 | 嵯峨野(右京区) | 10世紀末、寛朝僧正が遍照寺建立時に造成 | 灌漑用、秋の月見の名所 |
| 深泥が池 | 左京区 | 1万年以上前の湿地帯 | 国の天然記念物、ウルム氷期の植物(ミツガシワ)、浮島 |
| 宝が池 | 松ヶ崎(左京区) | 江戸時代中期に造成 | 灌漑用、国立京都国際会館に隣接 |

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前述の練習問題の解答☆
- 寛朝僧正
- ウルム氷期
- 浮島
- 国立京都国際会館
- 月見(またはお月見)


