🎨京都検定受験のための備忘録:工芸品#970
この記事は、京都検定の受験を目指す方のために、重要テーマの一つである**「工芸品」にスポットを当てて徹底解説します。特に、金銀を打ち込む華麗な京象嵌**、織物のルーツである丹後ちりめん、素朴な味わいの伏見人形の3点に絞り、その歴史や特徴、関連キーワードを詳細にまとめました。合格に近づくための備忘録としてご活用ください。
この記事内容から抜粋した練習問題5問☆
- 京象嵌の基本的な技法で、地金の表面に布目状の溝を刻んで金銀銅などを打ち込む技法を何といいますか。
- 京象嵌の技術が、室町時代末期にポルトガル人によって日本に伝えられた際の名称は何ですか。
- 丹後ちりめんが織り始められた江戸時代中期の年号と、西陣織の撚糸の技法を学んでちりめんを織り始めた人物の名前を答えなさい。
- 伏見人形の「火防(ひぶせ)の布袋」は、火災にあわないように、いつ参詣した帰りに購入し、布袋の背中にどの字を書いて飾るとされていますか。
- 伏見人形の布袋の習わしにおいて、満願成就とされる布袋の数は7体と、もう一つはいくつですか。
☆回答は記事の最後にあります。
京象嵌(きょうぞうがん)
- 技法:布目象嵌(ぬのめぞうがん)
- 地金の表面に布目状の溝を刻み、その溝に金・銀・銅などをツチで打ち込む技法。
- 極細に刻んだ筋に模様をたたき込んでいく。
- 起源と歴史
- 基本は、室町時代末期にポルトガル人によって伝えられた南蛮象嵌(なんばんぞうがん)(シルクロードを経て日本に伝来)。
- 当初は刀剣や甲冑など武具の製造に受け継がれた。
- 泰平の江戸時代には、刀のつばや鞘の金具に象嵌を施し、美術品としての価値を高めた。
- 明治の廃刀令で業界は打撃を受けるが、和装の装飾やアクセサリー、室内装飾の小道具として復活。
- 主な製品
- ペンダント、帯留め、タイピンなど。
- 制作工程(要点)
- 金銀銅などの素材をたたき込む $\rightarrow$ 錆をつけて拭う $\rightarrow$ 漆を塗って焼き成する綿密な工程を経る。
丹後ちりめん(たんごちりめん)
- 主な産地
- 京丹後市峰山町(旧中郡)が主産地。
- 始まり
- 江戸時代の享保4年(1719年)
- 絹屋佐平治(きぬやさへいじ)が西陣織の撚糸(ねんし)の技法を学んでちりめんを織り始めた。
- 同時期に、与謝野町の手米屋小右衛門(旧加悦町)や山本屋佐兵衛(旧野田川町)も撚糸を織り始める。
- 定着
- 宮津と峰山に縮緬産業が根付く。
- 関連施設
- 旧野田川町には丹後ちりめん歴史館がある。
伏見人形(ふしみにんぎょう)
- 特徴
- 伏見稲荷大社のお土産として知られる。
- 型に入れた土を成形し素焼きにする素朴なもの。
- 昔の風俗や伝説、民話をテーマにした、素朴でユーモラスな味わい。
- 歴史
- 江戸時代後期には50余りの窯元と十数軒の販売店で賑わった。
- 現在では昔通りの製法を守っているのは伏見に1軒のみ。
- 代表的なモチーフ:布袋(ほてい)
- 姿: 右手に団扇(うちわ)を、左手に袋を持つ。
- 用途: 毎年の初午(はつうま)の日の参詣の帰りに購入。
- 火防(ひぶせ)の布袋: 背中に**「火」の字を書いて荒神の棚に飾っておくと火災にあわない**とされる。
- 習わし: 初めは小型の布袋を買い、次々に大きなものに替えていって7体か12体になると満願成就 $\rightarrow$ また小型に戻る。(途中で火難にあったら最初に戻る)


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前述の練習問題の解答☆
- 布目象嵌(ぬのめぞうがん)
- 南蛮象嵌(なんばんぞうがん)
- 享保4年(きょうほうよねん)、絹屋佐平治(きぬやさへいじ)
- 初午(はつうま)の日、「火」の字
- 12体


