🏯京都検定受験のための備忘録:伝統的工芸品の世界#968
京都検定受験を目指す方必見! 京都に伝わる17品目の伝統的工芸品について、試験対策に役立つ重要ポイントを徹底解説します。西陣織、京鹿の子絞、京漆器、そして一番新しい京表具まで、それぞれの工芸品の歴史や特徴、重要な用語を網羅。
この記事内容から抜粋した練習問題10問☆
- 京都の伝統的工芸品の中で、一番新しく指定された品目は何ですか。
- 絞り染めの技法の一つで、絹を指でつまんで糸で括り、その模様が目の形に似ていることから「京鹿の子絞」の古称となった名称は何ですか。
- 応仁の乱後に職人が京都に戻り、再開した織物業のうち、東陣跡と西陣跡のどちらの地名が付けられ、伝統的工芸品京都第1号となった織物は何ですか。
- 京都の伝統的工芸品で、用途の約8割を茶道具の漆器が占め、室町時代からの茶道の隆盛で息を吹き返した工芸品は何ですか。
- 京うちわの特徴的な構造で、うちわ面と把手を別々に作り、うちわ面の中に把手を差し込む方式を何といいますか。
- 京都で生産される陶磁器の総称で、清水焼がその代表とされる品目名を答えなさい。
- 平安京の織部司に始まり、**「糸で描く絵画」**とも評される、1本の針と多色の糸で精緻な図柄をなす刺繍の伝統的工芸品は何ですか。
- 京扇子の起源とされる、薄い檜板をつづりあわせた扇を何といいますか。
- 建具師や家大工から分化し、主に家具を製作する木工芸で、くぎを使わずに木と木を組み合わせて作る伝統工芸を何といいますか。
- 京鹿の子絞の絞り技法のうち、その模様が段々畑に似ていることから名が付いたとされる代表的な技法は何紋ですか。
☆回答は記事の最後にあります。
この備忘録で効率よく学習し、合格に一歩近づきましょう!
目次
🌸京都の伝統的工芸品:17品目
京都には、日本の伝統と美意識が息づく多くの工芸品があり、そのうち17品目が国の伝統的工芸品に指定されています。
- 織物・染物系
- 西陣織
- 京鹿の子絞(きょうかのこしぼり)
- 京友禅
- 京小紋
- 京黒紋付染(きょうくろもんつきぞめ)
- 京くみひも
- 京縫い(きょうぬい)
- 陶磁器・漆器系
- 京焼・清水焼(きょうやき・きよみずやき)
- 京漆器(きょうしっき)
- 木工・指物系
- 京仏壇(きょうぶつだん)
- 京仏具(きょうぶつぐ)
- 京指物(きょうさしもの)
- 紙・竹・装飾系
- 京扇子(きょうせんす)
- 京うちわ
- 京石工芸品(きょういしこうげいひん)
- 京人形(きょうにんぎょう)
- 京表具(きょうひょうぐ)【特記事項】 京表具は、これらの中で一番新しい(直近で指定された)伝統的工芸品です。
👘京鹿の子絞(きょうかのこしぼり)
名称と歴史
- 目結い(めゆい): 鹿の子染めの技法は、古くは**「目結い」**と呼ばれていました。
- 絹を指でつまんで糸で括り(くくり)、絞って染めることで、括った部分が染まらずに残ります。
- その残った白い模様が目の形に似ていることから「目結い」と称されました(江戸時代の有職故実書『貞丈雑記』に記載)。
- 鹿の子染め: その模様が、子鹿の背のまだら模様に似ていることから「鹿の子染め」と呼ばれるようになりました。
- 世界と京都: インドなどで発明された染色技法で世界各地に存在しますが、室町時代に**「辻が花」染めの技法が開発され、需要が拡大。江戸時代には「鹿の子染め」といえば「京鹿の子」**を指すほど京都の特産となりました。
- 伝統的工芸品の一つです。
技法
- 工程: 図案(下絵)が描かれた布地に、一人一種の括り技法を持つ技術者が、一粒ずつ絞り括りをしていきます。
- 絞り技法の種類:
- 疋田(ひった)紋
- 一目紋
- 針疋田紋 など
- (※絞りの模様が段々畑に似ていることから「疋田」の名が付いたといわれています。)
- 染めわけ技法(多色染め):
- 桶絞り(おけしぼり)
- 帽子絞り
- 板締絞り など
✨西陣織(にしじんおり)
- 創始: 平安京の**織部司(おりべのつかさ)**の技術を基礎に、私的な営業として織物を織ったのが始まりです。織物業者たちは織部町織手町(黒門通上長者町)に集まっていました。
- 応仁の乱: 応仁・文明の乱で職人は一度京都を離れましたが、戻ってきて東陣跡と西陣跡で織物業を再開。特に西陣跡で再開した集団の織物が「西陣織」として発展しました。
- 指定: 伝統的工芸品の京都第1号として指定されました。
🍵京漆器(きょうしっき)
- 起源: 平安京の**内匠寮(たくみりょう)**での製作が始まりです。
- 歴史: 鎌倉時代に衰退の危機に瀕しますが、室町時代からの茶道の隆盛によって息を吹き返しました。
- 特徴: 現在でも茶道具の漆器が8割を占めています。
- 伝統的工芸品の一つです。
🎨京縫(きょうぬい)
概要
- 起源: 歴史は飛鳥時代にさかのぼり、皇族の着物や官服の縫製を行った織部司に始まります。
- 発展: 平安京の織部司に技術集団が置かれ、縫仏、縫衣、武具などに活用され発展してきました。
- 特徴:1本の針と多色の糸で精緻な図柄をなす刺繍です。その美しさは**「糸で描く絵画」とも評される絵画のような写実的な美しさ**を持ちます。
- 伝統的工芸品の一つです。
歴史と技法
- 室町時代: 能の装束に豪華な**縫箔(ぬいはく)**が用いられます。
- 江戸時代前期~中期:友禅染が完成するまで、鹿の子絞りや摺箔(すりはく)とともに布地の加飾の主要な方法でした。
- 現代: 現在、技法は30種にも及び、和装品、祭礼品、壁掛けなどに用いられています。
⛏️京石工芸品(きょういしこうげいひん)
- (提供された情報には、他項目に比べ詳細な記述はありませんでした。)
🪑京指物(きょうさしもの)
- 概要: 木工芸の一つで、建具師、家大工から分化した家具職人による伝統工芸です。
🧵京くみひも
- 概要: 糸を組み上げて一本のひもにしたてあげた伝統工芸です。
- 用途: 和装小物の帯締めなどに使われてきました。
🍵京焼・清水焼(きょうやき・きよみずやき)
- 概要:京都で生産される陶磁器の総称です。
- 代表:清水焼がその代表的なものです。
🎐京うちわ
- ルーツ: 南北朝時代に西日本を経て**「深草(ふかくさ)」に伝わった朝鮮団扇**がルーツです。
- 構造: 当初は柄が中骨と一体でしたが、江戸期以降に**挿柄(さしえ)**という京うちわ独特の構造を持つようになりました。
- 挿柄: うちわ面と把手(とって)を別々に作り、うちわ面の中に把手を差し込む方式です。
- 工程: 骨の加工が7工程、紙の加飾・裏張が3工程、仕上げが5工程など、複雑で繊細な工程を経て出来上がります。
- 始まり: 宮廷御用の土佐派、狩野派により描画された**「御所うちわ」**として始まりました。
🎭京扇子(きょうせんす)
- 用途: 納涼の夏扇だけでなく、舞扇、能楽扇、板扇、飾扇、茶扇など多様な用途があります。
- 起源:薄い檜板をつづりあわせた扇である**檜扇(ひおうぎ)**から始まります。
- 東寺の仏像の腕の部分から**「元慶元年(がんぎょう)877」**の字が記された檜扇が発見されています。
- 発展: 平安初期に五条大橋付近で初めて扇が作られ、それ以降周辺で製作が盛んになりました。
- 民間需要: 京扇子の民間需要が高まったのは江戸期で、歌舞伎や茶道、能楽などとともに庶民の間に広がりました。
- 分業: 明治に入ると製作工程の分業が進み、扇骨や要の部品は東山七条近辺が中心となりました。
- 伝統的工芸品の一つです。
🎎京人形(きょうにんぎょう)
- 起源: 宮廷でひな人形を飾る習慣が民間に広まったことから発展しました。
- 種類:ひな人形、五月人形、浮世人形、市松人形、御所人形などがあります。
- 伝統的工芸品の一つです。

🖼️京表具(きょうひょうぐ)
概要
- 役割: 絵画や書の作品を軸装、額装する伝統工芸です。
- 伝来:仏教とともに中国から伝来し、当初は経巻や仏画の飾りと補修をする技術=表装・表具として発達しました。
- 指定:伝統的工芸品の中で一番新しい指定です。
歴史と経師
- 経師(きょうじ): 経巻の表装をする役目を担った中国の装潢(そうこう)生、装潢匠(潢=紙を染める技術)の呼び名が、奈良の寺院でも用いられ、後に経師となりました。
- 大経師(だいきょうじ): 経師の集団を率いる人を大経師といいました。
- 奈良の幸徳井氏、京都の賀茂氏から新暦を授けられ、大経師暦として印刷・販売した歴史があります。
- 井原西鶴の『好色五人女』や近松門左衛門の『大経師昔暦』にも大経師が登場し、当時の社会における存在感を示していました(四条室町や烏丸四条に居住)。
- 多様化: 京都は仏教の中心地でありましたが、室町時代に茶道が興隆したことで、京表具も多様な技法と美意識への対応が求められました。
- 巻物、掛物、書画帖・額装・茶掛・襖絵・屏風・衝立などへと用途が広がりました。

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前述の練習問題の解答☆
- 京表具(きょうひょうぐ)
- 目結い(めゆい)
- 西陣織(にしじんおり)
- 京漆器(きょうしっき)
- 挿柄(さしえ)
- 京焼(または、京焼・清水焼)
- 京縫(きょうぬい)
- 檜扇(ひおうぎ)
- 京指物(きょうさしもの)
- 疋田紋(ひったもん)


