🏘️ 京町家(きょうまちや)とは?その歴史と特徴的な意匠#964
京都検定の受験対策にも役立つ、京町家の歴史と特徴を徹底解説!なぜ間口が狭く奥行きが深い「鰻の寝床」になったのか、その歴史的背景から、「バッタリ床几」「駒寄」「犬矢来」といった特徴的な意匠まで、写真を交えて分かりやすくまとめました。京町家を知ることは、京都の文化と歴史を知る第一歩です。
【設問1】
豊臣秀吉による京都市街大改造後の時期、京都市民に課せられた「役」と「税」の基準が、間口の幅を基準とする何に変わったか、その名称を漢字二文字で答えなさい。
【設問2】
間口が狭く、奥行きが深い住まいとなり、京町家の特徴的な構造となったこの形式を、ある動物の寝姿に例えて何と呼ぶか答えなさい。
【設問3】
商家の門口の寄り付きに張り付いた、商品の陳列や腰掛けとして使われる上げ下げ式の床几(しょうぎ)を何と呼ぶか答えなさい。
【設問4】
京町家の表の余地を囲う駒寄の桟に、刃物の削り跡で波のような模様を作る技法を何と呼ぶか答えなさい。
【設問5】
外側の壁や塀を泥やはねで汚されないよう、割竹や細長い桟木を組んで斜めに立てかけた囲いを、その設置場所(軒下部分)の名称を用いて何と呼ぶか答えなさい。
☆回答は記事の最後にあります。
これから京都検定を目指す方へ、京町家に関する重要ポイントをまとめました。
京町家の歴史的変遷
京町家のルーツは、時代によって大きく変化しています。
- 中世末期(小型の住居) 当時の一般的な住宅は非常に狭かったです。
- 通りに面して小屋と呼べるような簡素な平屋でした。
- 奥行きは一部屋か二部屋程度。
- 家の裏はすぐに空地で、**共同の井戸と厠(かわや=トイレ)**があり、その奥に別の家が建っているような配置でした。
- 近世初期(大型化と「鰻の寝床」の誕生)豊臣秀吉の京都市街大改造や町人の経済力の増強に伴い、町家は大型化します。
- 間口(通りに面した幅)は**三間(けん)**程度に。
- 奥行きも20間以上に伸びる家も現れました。
- 小路の間隔は変わらなかったため、家と家の間の空き地は双方に取り囲まれ、2軒の住宅が背中合わせになる配置に。井戸、厠、庭はそれぞれの私的所有となりました。
👉 鰻の寝床(うなぎのねどこ)
この時期、京都市民に課せられた役(えき)と税の基準が**「軒役(のきやく)」**に変わりました。
- 軒役の基準:間口の幅
- 三間の間口を一軒役とし、広さに応じて半軒役、二間役などが課されました(奥行きは関係なし)。
- 対策:税負担を増やさないために、間口を狭くし、生活空間を増やすために奥行きを伸ばすことが行われました。
- 結果:間口が狭く奥が深い住まい、すなわち**「鰻(うなぎ)の寝床」**と呼ばれる特徴的な京町家の形が定着しました。
京町家の特徴的な意匠
京町家の外観を形作る重要な要素として、以下の意匠があります。
🪑 バッタリ床几(しょうぎ)
- 用途:商家の門口の寄り付き(出入り口の周辺)に設けられた意匠。
- 特徴:上げ下げ式(折りたたみ式)の床机(腰掛け)。商品を置いたり、近隣の人々が座って談笑したりする場として使われました。
🧱 駒寄(こまよせ)
- 目的:京町家は表の道路から1mほど内側に引いて建物を建て、余地(ゆとり空間)を作ります。この余地を囲み、道路を隔てる形で作られるのが駒寄です。
- 構造:高さ1mほどの六角形の桟に、細幅の板を貫(ぬき)にして囲っています。
- 機能:空間を作ることで余裕を持たせ、かつ私有地の境界を表します。
- 京なぐり:桟には刃物の削り跡で波のような模様が施されており、これを**「京なぐり」**と呼びます。
🛡️ 犬矢来(いぬやらい)
- 目的:外側の壁や塀が、泥やはねで汚されないようにするため。
- 構造:割竹(わりたけ)や細長い桟木を組んで、壁に斜めにたてかけたもの。
- 名称の由来:
- 矢来(やらい):もともとは戦の時に、陣地を示すために竹や丸太を粗く組んだ囲いのこと。
- 犬:建物の軒下部分にある犬走り(軒下部分の通路)に設置されることから、犬矢来と呼ばれます。
🌿 坪庭(つぼにわ)
- 特徴:家屋の中ほどに設けられた小さな庭。
- 役割:採光や通風を確保し、生活空間に潤いと明るさをもたらす重要な要素です。「鰻の寝床」のように奥が深くなる町家において、奥まで光を取り入れ、風を巡らせる役割を担いました。
この京町家の構造と意匠は、京都の歴史や文化、そして市民の生活と密接に結びついています。これらの要素をしっかり理解することが、京都検定合格への一歩となります。
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