🍲京都の食文化:行事と習慣に根差した「京料理」の知恵#954

京都検定受験を目指す方へ!「あずのごはん」から「をけらまいり」の雑煮まで、京都の食文化には、独自の歴史と知恵が詰まっています。本記事では、特別な日の料理や年中行事の習慣に根ざした「京料理」の特徴を解説します。

この記事内容から抜粋した練習問題5問☆
  1. 小豆のことを指す京都の女性語は何と呼ばれますか。
  2. 京都で、誕生祝いや十三参りなどの祝い事の日に食べる、小豆を炊き込んだご飯を何と呼びますか。
  3. 京都で、毎月8日に食べられ、茹でた汁を門口に流して魔除けとするところもある料理は何ですか。
  4. 京都で「きわ」(月末)に食べた、魚を炊いた煮汁でおからを煮る料理は、京都のどのような精神を体現していますか。
  5. 正月、京都で出されるタイの塩焼きを、三が日の間、箸をつけずにただ見る(にらむ)だけであることから何と呼びますか。
  6. 京都の雑煮の味付けは、どのような味噌仕立てですか。
  7. 京都の雑煮の具材のうち、一家の主人と長男のお椀にだけ入れられるとされる芋は何ですか。
  8. 京都の雑煮に使う白味噌が、和菓子などの甘味料としても使われる理由となる、米麹の使用量や甘みの特徴を簡潔に述べてください。
  9. 大みそかから元旦にかけて八坂神社で行われる行事で、吉兆縄に移した火を雑煮の種火にすると無病息災で過ごせるとされるものは何ですか。
  10. 海から遠い京都で特別な存在とされ、小骨を繊細に断ち切る「骨切り」という京都独特の料理法が用いられる魚は何ですか。

☆回答は記事の最後にあります。

これから京都検定を目指す方への備忘録として、「京都の料理」に関する特徴的な習慣や料理名をまとめます。これらの料理の背景には、京都の地理的・歴史的な事情や、ものを大切にする「始末の精神」が息づいています。

【1】日々の習慣と特別な日の食事

🌟あずのごはん(小豆ご飯)

  • 「あず」 とは、小豆(あずき) のことを指す京都の女性語です。
  • 小豆を炊き込んだご飯を 「あずのごはん」 と呼びます。
  • 【食べる日】 誕生祝い、十三参りなどの 祝い事の日 に食されます。
  • また、毎月1日と15日 に決まって食べる習慣があります。

🌟アラメと油揚げ(荒布(あらめ)のふくめ)

  • 【食べる日】毎月8日 に食べられます。
  • あらめを茹で、調味しただし汁で煮ふくめた料理です。
  • 茹でた汁を門口に流して 魔除け とするところもあります。

🌟おから

  • 【食べる日】 月末の きわ(際) に食べました。
  • 魚を炊いた 煮汁 でおからを煮て食べるのが特徴です。
  • これは、捨てるものからもう一品作る という、京都人の 始末の精神 を体現した料理です。

🌟鱧(はも)料理

  • 海から遠い京都において、生命力の強い鱧は 特別な存在 です。
  • 特に 梅雨明け の鱧の味は格別とされます。
  • 鱧の小骨を繊細に断ち切る 「骨切り」 は、京都独特の調理法として知られています。

【2】年中行事を彩る料理

🌟雑煮(ぞうに)

  • 【味噌】白味噌仕立て です。米麹を多く使用した 甘みの強い 味噌が特徴です。
    • 白味噌は、平安貴族の食文化とともに伝えられ、和菓子などの 甘味料 としても使われます。
    • 発酵熟成期間が短く、塩分が少ないため日持ちも短い のが特徴で、主に冬場の料理によく使われます。
  • 【具材】頭芋(かしらいも)、小芋、雑煮ダイコン、京ニンジン(金時)丸餅 を使用し、具材の全てが丸い のが特徴です。
    • 頭芋 は、一家の主人と長男 のお椀にだけ入れます。
  • 【だし】 まず仏前に供えるため、だしは 昆布のみ で引きます。
    • 食べるときに 鰹節を振りかけます
  • 【器・箸】
    • 汁椀は 塗りのもの を使います。
    • 格式を重んじる家庭では、男性は 朱塗り の椀(総朱そうしゅ)、女性は 黒内朱 を使うことが多いです。
    • お箸は 両端を削った柳箸 を祝箸として用い、箸袋に各々の名前を書きます。
  • 【をけら火(火種)】 大みそかから元旦の早朝にかけて八坂神社で行われる 「をけらまいり」 で、「をけら火」 を吉兆縄に移し、消えないように回しながら持ち帰り、元旦の雑煮の種火 にすると 無病息災 で過ごせるとされています。

🌟にらみ鯛

  • 【正月】 京都では正月に タイの塩焼き を出します。
  • 三が日の間、箸をつけずに 飾っておき、ただ 見る(にらむ)だけ であることから 「にらみ鯛」 と呼ばれます。

🌟鯖寿司(さばずし)

  • 鯖を3枚におろし、小骨を抜いてから 酢でしめ、棒状に固めた鮨飯にのせて、竹の皮 で包みます。白板昆布 をのせるところもあります。
  • 町々の祭礼(祇園祭を含む) にあわせて家庭で作るごちそうです。
  • 親せきや知人・友人に配って賞味してもらい、祭礼への共同参加の気分を確認する という意味合いがあります。

【3】特定の商品名として有名な煮物

🌟いもぼう

  • 特定の商品名 としても知られる料理です。
  • 高級食材の えびいも棒鱈(ぼうだら) を炊き合わせた煮物です。

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この記事を書いた人
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ロスジェネ40代の、あれこれ記録帳を運営しています。
京都市出身、現在は東京都江東区に住まい、妻と一緒に小学生&保育園の二人の子育て中。両親の介護で京都との二拠点生活です。
「野菜作りを楽しむ」をコンセプトにした家庭菜園や農体験の運営を仕事として10年やってきました。今は独立して様々な情報発信などのお仕事と、不動産の管理などをしています。

前述の練習問題の解答☆
  1. あず
  2. あずのごはん
  3. アラメと油揚げ(または、荒布のふくめ)
  4. 始末の精神
  5. にらみ鯛
  6. 白味噌仕立て
  7. 頭芋(かしらいも)
  8. 米麹を多く使用した甘みの強い味噌(であること)
  9. をけらまいり(をけら火)
  10. 鱧(はも)

Posted by ロスジェネ40代の、あれこれ記録帳