🍡京都の菓子:歴史と由来をたどる備忘録【検定対策にも!】#951
京都検定の受験者必見!千年の都の歴史と神事に彩られた「京都の菓子」の由来と特徴を徹底解説します。単なるお菓子ではない、物語を持つ京菓子の知識を深め、合格と日々の備忘録に役立てましょう。
この記事内容から抜粋した練習問題10問☆
- 今宮神社の神饌菓子であり、一条天皇の時代に始まり、指の先ほどの小さな餅を白みそだれで食べる菓子は何でしょう。
- 祇園祭の役行者山にちなみ、山伏の鈴懸をたたんだ形を模し、山椒入りの味噌餡を包んで宵山の日などに販売される菓子は何でしょう。
- 奈良時代に唐菓子の一種として伝来し、白檀など7種の香りをつけた餡を皮に包み、上質な胡麻油で揚げて作られる、比叡山の阿闍梨の秘法を継承する菓子は何でしょう。
- 上御霊神社の神饌菓子で、貞観5年(863年)の御霊会の際に供えられ、応仁の乱後に水田玉雲堂の祖先が製法を再現した、銅板で焼く菓子は何でしょう。
- 下鴨神社の神饌菓子で、境内末社の泉水の泡をかたどったもので、5個の団子のうち1番目と2番目の間が空いているのは人体をかたどっているとされる菓子は何でしょう。
- 大豆を煎って挽いた洲浜粉を砂糖や水あめと練り合わせ、切口を仙人が住むとされる蓬莱山と同じ縁起の良い形に成形した菓子は何でしょう。
- 京都から西国へ向かう旅人が、鳥羽街道の城南宮近くの茶店で休んだ際、見送りの人との別れを惜しんだことに由来し、「せき」という娘の名にちなむ菓子は何でしょう。
- もとは東寺境内で修行僧のおやつとして作られ、熱した銅鑼の上で生地を焼き、毎月21日前後の3日間だけ笹屋伊織から販売されていた菓子は何でしょう。
- 亥の月(陰暦10月)の亥の日、亥の刻に食べると火難を逃れ、病気にならないとされる中国伝来の習慣に由来する菓子は何でしょう。
- 祇園祭で長刀鉾の稚児が社参を終えた後に中村楼で振舞われたことに由来し、現在では白味噌の餡を求肥でくるんだ形で三條若狭屋から販売されている菓子は何でしょう。
☆回答は記事の最後にあります。
これから京都検定を目指す皆さん、そして備忘録として。京都の和菓子は、単なるお菓子ではなく、神事や祭り、歴史と密接に結びついています。由来を知ると、その味わいはさらに深くなります。
目次
⛩️神事・祭事ゆかりの菓子
〇あぶり餅
- 由来: 今宮神社の神饌菓子(しんせん)。一条天皇(986~1011)の時代に始まったとされる、千年以上の歴史を持つ。
- 特徴: 指の先ほどの小さな餅にきな粉をつけ、竹串に刺して炭火であぶり、白みそだれにつけて食べる。
- 別名: 小団子、勝の餅と呼ばれたこともある。
- 場所: 今宮神社の東に2軒の餅屋が並ぶ。
〇みたらし団子
- 由来: 下鴨神社の神饌菓子。境内末社の御手洗(みたらし)社の泉水の泡、または水玉をかたどったとされる。
- 特徴: 5個の団子を串に刺す。一番目と二番目の間が空いているのは、人体をかたどっているため。
- 販売店: 加茂みたらし茶屋など。
〇行者餅(ぎょうじゃもち)
- 由来: 祇園祭の役行者(えんのぎょうじゃ)山にちなむ。もとは八坂神社の神饌菓子。
- 歴史: 文化年間(1804~18)に柏屋光貞(かしわやみつさだ)の四世利兵衛が夢のお告げに従い、役行者山に奉納し、知人に配ったところ無病息災のご利益があったとされる。
- 特徴: 小麦粉を薄く焼いた皮に、小さな餅を置き、山椒入りの味噌餡を絞り、山伏が着る鈴懸(すずかけ) をたたんだ形に短冊形に折りたたんだもの。
- 販売: 柏屋光貞の製品で、祇園祭の宵山の日に販売される。
〇稚児餅(ちごもち)
- 由来: 7月13日、祇園祭の長刀鉾・稚児社参の日に、八坂神社南門横の中村楼が神前に供え、社参を終えた稚児に振舞ったことに始まる。
- 特徴: 現在は白味噌の餡を求肥(ぎゅうひ)の皮でくるみ、竹串で刺した「祇園稚児餅」として、三條若狭屋から売り出されている。
〇唐板(からいた)
- 由来: 上京区の上御霊神社の神饌菓子。貞観5年(863)に神泉苑で行われた疫病退散の御霊会(ごりょうえ)の際に神前に供えられた。
- 歴史: 応仁の乱により御霊会は途絶えたが、乱後に水田玉雲堂(みずたぎょくうんどう)の祖先が古書から製法を再現し、境内に茶店を設けた。
- 特徴: 小麦粉、砂糖、鶏卵に少量の塩を加えて練り、薄く延ばして短冊状に切り、両面を銅板で焼く。
🥮歴史・信仰にまつわる菓子
〇おせき餅
- 由来: 平安京の羅城門から南へ走る「鳥羽の作道」(現・鳥羽街道)沿い。京都から西国へ向かう旅人が、城南宮の近くの茶店で、見送りの人と別れる際に休んだ。
- 名前の由来: 城南宮西門前の茶店にいた「せき」という優しい娘さんにちなむ。
〇亥の子餅(いのこもち)
- 由来: 中国の習慣が日本の宮中に伝わり、後に民間信仰となった。
- 信仰:亥の月(陰暦の10月)、亥の日、亥の刻に食べると病気にならないとされる。亥は陰陽五行説で「極陰」(水性)とされ、火難をのがれる信仰がある。
- 茶の湯との関係: この日(亥の月亥の日)に茶室に地炉を開くならわしがあり、炬燵に火を入れれば火事にならないとされる。
〇清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)
- 由来: 奈良時代に伝来した唐菓子(とうがし)の一種。天台宗や真言宗のお寺の儀式でお供えとして用いられた。
- 特徴: 白檀(びゃくだん)・竜脳(りゅうのう)・桂皮末(けいひ)など7種の香りをつけた餡を皮に包み、上質な胡麻油で揚げて作る。
- 継承: 比叡山の阿闍梨から伝えられた秘法を継承する亀屋清永で、毎月1日と15日を中心に作られている。
〇州浜(すはま)
- 特徴:大豆を煎って挽いた洲浜粉に砂糖や水あめを混ぜて練り、切口が**洲浜形(砂浜の地形)**になるように成形した菓子。
- 意味: 仙人が住む蓬莱山が洲浜形だとされ、縁起の良い形として知られる。
🍡茶店・庶民から広まった菓子
〇焼き餅
- 由来: 江戸時代中ごろ、神社の参詣人を当て込んで、祇園社の西門近くなどで餡餅を焼いて売り出された。
- 地域性:上賀茂神社近くでは、社紋の葵の双葉にちなんだ「葵の葉」の焼き餅が名物菓子となっている。
〇どら焼き
- 由来: もともとは当時の修行僧のおやつとして、東寺境内で作られていた。
- 特徴: 熱した銅鑼(どら) の上で生地を薄く焼き、こし餡を載せて巻いた。小豆の餡を小麦粉の皮などで巻き、棒状にして竹の皮で包む。
- 販売: 当時の縁日の毎月21日前後の3日間だけ、笹屋伊織から売り出されていた。

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前述の練習問題の解答☆
- あぶり餅
- 行者餅(ぎょうじゃもち)
- 清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)
- 唐板(からいた)
- みたらし団子
- 州浜(すはま)
- おせき餅
- どら焼き
- 亥の子餅(いのこもち)
- 稚児餅(ちごもち)


