五山の送り火:京都の夜空を彩る夏の風物詩#943
京都の夏を締めくくる荘厳な伝統行事、五山の送り火。毎年8月16日の夜、五つの山に炎で描かれる巨大な「文字」や「形」の意味をご存知ですか?その歴史や、「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」それぞれの由来を詳しくご紹介します。京都検定受験対策にも役立つ、五山の送り火完全ガイドです。
京都の夏を締めくくる風物詩であり、日本全国にも知られる五山の送り火。
この記事内容から抜粋した練習問題5問☆
- 五山の送り火が毎年行われる日付は何月何日ですか?
- 五山の送り火は、盂蘭盆会で現世に迎えた何をあの世へ送り出すための行事ですか?
- 江戸時代後期には、現在の五山以外にも「い」や「蛇」などがありましたが、この風習が現在の山肌に送り火を灯すスタイルになったのは何時代と考えられていますか?
- 五山の送り火で最初に点火される、午後8時が目安の送り火の名称は何ですか?
- 「妙法」の送り火のうち、「妙」の字が点火されるのは、松ヶ崎の東山と西山のどちらですか?
- 「船形」の送り火が点火される山で、妙見山や万灯籠山とも呼ばれる山の標高は約何mですか?
- 「船形」の由来となったとされる、船山の南にある寺院は何ですか?
- 「左大文字」が点火される、金閣寺(鹿苑寺)の北にある山の名称は何ですか?
- 五山の送り火で最後に点火される、午後8時20分が目安の送り火の名称は何ですか?
- 「鳥居形」が点火される曼荼羅山は、空海が化野に両界曼荼羅をつくった際、金剛界と胎蔵界のどちらにあたるとされましたか?
☆回答は記事の最後にあります。
毎年8月16日の夜、京都市街を囲む五つの山肌に巨大な文字や形が炎で描かれます。これは、**盂蘭盆会(うらぼんえ)**に迎え入れた精霊(しょうりょう)を再びあの世へ送り出すための、**精霊送り(しょうりょうおくり)**の行事です。
概要と歴史
- 行事日: 毎年8月16日
- 目的: 盂蘭盆会で現世に戻ってきた精霊を送る「精霊送り」の灯火。
- 歴史:
- 古くは、松明(たいまつ)を空に投げ上げて精霊を送る風習があったとされます。
- これが室町時代頃に、山肌に送り火を灯す現在のスタイルになったと考えられています。
- 江戸時代後期には、現在の五山以外にも「い」「一」「竹の先に鈴」「蛇」「長刀」など、多くの送り火が存在していたようです。
五山の送り火とその由来
五山は、順番に点火され、それぞれにユニークな由来や伝説が伝わっています。
| 順番 | 送り火の形 | 点火時刻(目安) | 所在山・地域 | 主な由来・伝承 |
| 1番目 | 大文字 | 午後8時 | 大文字山(東山・如意ヶ嶽) | デザインの由来については、弘法大師空海説や、相国寺の僧・横川景三説など、諸説あります。 |
| 2番目 | 妙法 | 午後8時5分 | 松ヶ崎(東山・西山) | 「妙」は松ヶ崎の西山(標高約133m)、「法」は松ヶ崎の東山(標高約187m)に点火されます。永仁年間(1293~99)に松ヶ崎の湧泉寺の実眼が日像に帰依し、一村が法華宗に改宗したことにちなみ、南無妙法蓮華経の「妙法」の字が点火されるようになりました(徳治2年・1307年、日像の布教が実った)。 |
| 3番目 | 船形 | 午後8時10分 | 船山(西賀茂) | 船山(妙見山、万灯籠山とも。標高約317m)に点火されます。船山の南にある西方寺を開いた円仁が、唐留学の帰途で暴風雨に遭った際、「南無阿弥陀仏」と唱えて無事に帰国できたため、その船の形を送り火の形にしたとされます。 |
| 4番目 | 左大文字 | 午後8時15分 | 大北山(北区) | 大北山(金閣寺の北にある山。標高約231m)に点火されます。 |
| 5番目 | 鳥居形 | 午後8時20分 | 曼荼羅山(嵯峨野) | 右京区、嵯峨鳥居本にある曼荼羅山(万灯籠山、仙翁寺山とも。標高約260m)に点火されます。デザインは愛宕神社の鳥居に由来するとされます。伝説では、空海が化野に両界曼荼羅をつくり、この曼荼羅山を胎蔵界とし、1000体の石仏を刻んで開眼供養として点火したのが始まりと伝えられています。曼荼羅山の南には化野念仏寺があります。 |
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この五山の送り火の知識をしっかりと覚えて、試験に役立ててくださいね!

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前述の練習問題の解答☆
- 8月16日
- 精霊(しょうりょう)
- 室町時代
- 大文字
- 西山
- 317m
- 西方寺
- 大北山(おおきたやま)
- 鳥居形
- 胎蔵界(たいぞうかい)


