【体験談】相続税の税務調査を受けた日|僕が直面した2つの指摘とその対応 #890 mission086
2024年10月29日。この日は僕にとって、忘れられない1日となりました。
お世話になっている東京の会計事務所に、京都の税務署の方が来訪し、2年前に行った相続税の申告に関する税務調査が実施されたのです。対象は、僕の母(相続人)を中心としたもので、母は認知症のため、代理として僕が立ち会いました。対応メンバーは、会計事務所の所長、担当の税理士さん、そして僕の3名。
人生初の税務調査。予告なしの質問にドキドキ…
税務調査は初めての経験で、正直かなり緊張しました。事前に質問内容は伝えられておらず、とりあえず相続税の申告書控えと関連資料一式を準備して臨みました。
基本的に税務調査は、申告内容に不明点や確認が必要な場合に行われる「任意調査」です。つまり、何か気になる点があったということなのでしょう。
午前中は、僕自身のプロフィールや、被相続人である叔母、相続人の母の生い立ち、家族関係、最近の生活状況などを細かく聞かれました。
(「何か不備があって追加の支払いが必要なら、先に言ってくれたら従うのに…」と正直思いましたが、これは必要な手続きとのこと)
相続税申告での“うっかりミス”が発覚
そして昼前、本題へと入りました。最初に指摘されたのは、相続税申告に「証券会社の資産」が漏れていたということ。
これは完全に僕と会計事務所の確認ミスでした。
京都市内にある2件の不動産(土地・建物)と金融資産が相続財産だったのですが、銀行口座の情報はきちんとまとめていた一方で、母と一緒に訪れた証券会社の資産をうっかり申告から漏らしていたのです。
幸い、持参していた資料の中に証券口座の金額が記載されており、確認が取れたため、追加で相続税・加算税・延滞税を支払うことになりました。
午後の調査で浮かび上がった、もう一つの問題
「これで終わりかな」と思った矢先、12時になると昼休憩に入りました。このタイミングで、所長さんは外出。
午後の調査では、僕自身も関わる“贈与”の問題に話が進んでいきました。
13時から再開された調査で指摘されたのは、2018年(平成30年)から叔母が亡くなる2022年までの間に、叔母の口座から僕の口座に送金が行われていたという事実です。
これは、母が叔母を見舞った際などに、叔母からのお小遣いのような形で送金されたもので、悪意のあるものではありません。ただし、
- 叔母の口座から現金を引き出して母の口座経由で僕の口座に振り込む
- あるいは直接僕の口座に振り込む
という形式が混在しており、税務署が追跡したところ、複数の送金履歴が一致したそうです。
そして、その合計金額が年間110万円の贈与税の基礎控除額を超えていた年があったということでした。
結果的に「贈与」と判断される可能性
当時、叔母は体調がすぐれず、母は認知症の症状が出始めており、送金の正確な記録や意図を把握していなかったと思います。僕も、日ごろ記帳などもせず給与支払いなどに紛れて確認していなかった(把握していなかった)部分があり、この指摘を受けつつ自分でも遡って再度確認する必要がありました。
税務署の見解としては、
- 叔母→母への相続税が正確でなかった可能性がある
- 叔母→僕への贈与について、控除額を超えた分には僕が贈与税を納める必要がある
ということでした。
税務調査を受けて感じたこと|今後の教訓
今回の経験を通じて、僕が強く感じたのは、**「記録の大切さ」と「専門家との緊密な連携」**です。
ほんの少しの確認漏れや、何気ないやりとりも、数年後には「贈与」や「申告漏れ」として扱われることがあります。相続税や贈与税はルールが細かく、知らなかったでは済まされません。
これを読んでくださっている方も、相続や贈与に関して不安がある場合は、ぜひ早めに専門家へ相談することをおすすめします。
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