#853 mission049 引っ越しから1週間、親の新生活を見守る日々──サ高住で感じたリアル【介護振り返りnote】
2024年2月22日——両親が京都市内のサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)へ引っ越してから、ちょうど1週間が経ちました。今回は、様子見と生活用品の補充を兼ねて、二人の部屋を訪れることにしました。
高齢者の引っ越し後は「慣れるまでが勝負」
前週の引っ越し当日、それぞれの担当者会議の場で、介護の責任者さんから大切なことを教わりました。
「どれだけ適応力のある方でも、新しい環境に慣れるのに3か月はかかります。半年経っても落ち着かない方もいます。できれば、しばらくは定期的に顔を見せてあげてください。」
この言葉がとても印象に残っています。
さらに、サ高住での生活では、トイレ洗剤や便座シート、お風呂用洗剤、紙パンツやパッド、使い捨て手袋、大小のごみ袋、クイックルワイパー、トイレットペーパーなど、介護に必要な消耗品は基本的に家族が補充します。

つまり、東京から通いで支援している僕が、それをすべて担う必要があるのです。
父の口からこぼれるのは、母への不安ばかり
この日、父からはこんな言葉が次々に飛び出しました:
- お母さん、もう限界や
- わしはええから、お母さんを家に連れて帰ってやってくれ
- 鍵がない、薬がないって言ってくる
- わしも家に帰りたい
- 東山の家に帰ろうか?って聞いたら「帰らな」って言うんや
- 買い物に行きたい、親戚の家の様子を見に行きたいって言い出す
- お母さんが心配で寝られへん
要するに、父の関心は母のことばかり。でも、これは「心配している」というよりも、認知症が進んでいく母に対して戸惑いと疲労感をにじませながら語っているようにも聞こえました。
東山の実家で一緒に暮らしていたときからずっと、父は母の変化に対して「どう付き合えばいいのか」がわからずに、どこか距離を置きながらも目が離せない、という態度だったように思います。
ちなみに、母の部屋や建物の玄関の鍵は、記憶力と管理能力の問題から僕が預かっています。薬についても、朝と夕方、看護師さんが決まったタイミングで投薬してくれる体制が整っており、飲み忘れや重複服薬を防ぐ工夫がされています。
母は驚くほど自然に、新しい環境に馴染んでいた
そして母の方はというと、これがもう驚くほどの適応ぶり。
僕が部屋を訪れると、「あぁ来たのか」とまるで数年ここに住んでいたかのような雰囲気で迎えてくれました。まるで前から知っていた場所かのように、部屋を案内してくれるのです。
もちろん、それは本当に慣れたというよりは、ここが昔住んでいた東山の家だと少し勘違いしているところもあるようでした。
「ご飯、作ろうか?」 「2階でゆっくりしてきなさい」 「もうすぐ買い物行くからね」
そんなセリフが自然に出てくる母を見て、胸が締めつけられるような、でも少しホッとするような、そんな気持ちになりました。
新生活は、なんとか順調にスタートしていた
引っ越しから1週間。両親それぞれの不安や戸惑いはありつつも、大きなトラブルもなく、新しい生活は何とか回り始めているようでした。
必要な消耗品をそれぞれの部屋に補充し、次の訪問予定をカレンダーに書き込んで、僕は再び東京へと戻りました。
けれど——。
そのわずか5日後の2月27日、ある「事件」が起きることになります。
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