#848 mission044 引っ越し前の小さな嵐と、家族のかたち【介護振り返りnote】
引っ越し予定日を目前にして、思わぬ壁が立ちはだかりました。
父から「中止にしてほしい」と電話がかかってきたのです。理由は、母が「そんな話は聞いてない」「見学になんか行っていない」「私は引っ越さない」と言っているから、というものでした。
僕は京都へ向かうその足で、実家に到着するなり、まず母に確認してみました。
案の定、母は引っ越しの話など初耳という反応でしたが、息子である僕の前では「あんたが言うのやったら、それでいいよ」と受け入れるような言葉を口にしてくれたのです。
その様子を横で見ていた父との会話も始まりました。母が二人きりの時とは違う態度を見せたことに、父も少し安心したようでした。
それに、前夜「中止」と電話してきたときにはお酒が入っていたようで、朝の体調や気分とは違っていたのか、僕の話もよく聞いてくれました。
朝から話し合いに訪れた理由を伝え、僕の思いを言葉にしました。
- 両親の言い合いばかりを聞くのがつらい
- 父も母の世話に疲れていて、体力的にも限界だと思う
- 息子として、一番良いと思った場所を見つけて決めた
- この引っ越しのために、翌日15日まで仕事を休んできている
そんな話をしっかり伝えると、父も納得してくれて、当初の計画通りに進めることができました。
その日の昼前には、家電量販店から購入品をサ高住の部屋で受け取り、契約手続きにも移れました。
実家に着いてからのやり取りはわずか30分ほどでしたが、少しの不安は胸に残ったままでした。
引っ越し2日前、サ高住の準備が本格化
この日は、引っ越し予定日の2日前。
冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、トースターといった家電の搬入を済ませ、カーテンや家具も設置。
サニタリー用品や生活に必要な小物の買い出しにも回りました。
母が入居予定の部屋を使わせてもらいながら、2部屋分の契約書・重要事項説明書・誓約書・同意書・保険関係の書類を、ひたすら書き続けました。
そして、再びやってきた「中止」の電話
夕方近く、床に敷くカーペットが足りなかったのでホームセンターに立ち寄っていたところ、父から着信がありました。
「やっぱりペケや。中止や。今どこにいる?戻ってきてくれ」
まさかの再中止の宣言。不安は的中しました。
父は、母の「聞いてない」「引っ越さない」といった言葉に毎回揺さぶられ、説得できず、最終的に「中止」の判断を繰り返していたのです。
一瞬、「また振り出しか」と思いましたが、僕自身にも経験があります。
おそらく母と直接会って話をし、父と丁寧にコミュニケーションを取れれば、何とかなる――そんな感覚がありました。
寒い京都の冬、再び実家へ
その日は2月12日。京都の寒さが身にしみる日でした。
僕はホームセンターへはレンタサイクルで移動していたので、そのまま自転車で実家に引き返しました。
そして、再度母と話すと、やはり「あんたが言うなら従うよ」と返ってきました。
父にも話を通すと、「わかった」との返事。
こうして、何とかギリギリのバランスで前に進みながら、引っ越し前日を迎えることになったのです。
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