母の物忘れと認知機能検査|認知症の診断と地域医療の連携体験記#824 mission020 【介護振り返りnote】
母の物忘れが目立ち始めた頃、僕たち家族の間では「認知機能の低下」や「軽度の認知障害」など、いろんな言い方をしていました。ただ、医師から正式な診断名を聞いたことはなく、どこまでが加齢によるものなのか、判断に迷う状態でした。
母が最初に「物忘れ外来」を受診したのは、父の付き添いで行ったときです。医師からは「認知症の始まりかもしれない」と告げられたようですが、その後も処方されている薬は長年変わらず、高血圧の薬と軽い睡眠導入剤のみでした。
状況が少し動いたのは、2023年春に訪問看護が始まってからです。看護師さんと親しくなり、いろいろ話をする中で、「一度きちんと検査を受けて、認知症かどうか診断を受けた方がいい」と提案をもらいました。
その検査として勧められたのが「長谷川式認知症スケール」というテストです。もしこの検査で診断がつけば、今通っている地域の主治医からも、進行を遅らせる薬が処方できるようになるかもしれないとのことでした。
看護師さんやケアマネージャーさんからは、京都市内の「物忘れ外来」をいくつか紹介してもらったのですが、主治医の先生に相談すると「そのあたりの病院はあまり信用できない」との反応。そして「京都府立医科大学附属病院」の脳神経外科なら信頼できると、紹介状を書いてもらえることになりました。
先生から紹介された脳神経外科の地域医療外来に予約を取り、5月に母と一緒に受診することになりました。最初は少し手続きがややこしく感じましたが、今振り返ってみると、大学病院で診断を受けてから地域医療に戻るという流れは、とてもスムーズで安心感がありました。
大学病院では、長谷川式の認知症検査や、MRIによる脳の断面画像の検査も実施されました。大きな音がする検査でしたが、耳が遠い母にとってはむしろ退屈な時間だったようです。
診断結果は「まだ認知症とは言い切れない、一歩手前の段階」とのことでした。今の段階で認知機能を改善させる薬は存在しないけれど、これまでの薬に加えて、進行を和らげる薬を追加していきましょう、という方針になりました。

この診断結果は主治医にも共有され、母の処方薬に新たな薬が加わりました。劇的な改善があるわけではありませんが、「今できることをひとつずつ積み重ねていく」という実感を持てたのは、僕にとっても心強いことでした。

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