80代の両親と考える老後の住み替え|京都・東山区での実家介護のはじまり#818介護振り返りnote015
うちの実家は、京都市東山区にある2階建ての戸建て住宅です。2000年代に建て替えてからは、1階のリビングを中心に、母が1階の和室、父が2階の部屋を寝室として使っていました。
京都市東山区といえば、観光地として知られる一方で、「東山」の名の通り、坂道や細い路地が多い地域です。高齢になった両親にとって、こうした地形はだんだんと生活の負担になってきました。
特に80代に入った父は、2階への階段の上り下りがしんどそうで、買い物や散歩など外出も次第に難しくなっていきました。加えてコロナ禍による外出自粛も重なり、ますます家にこもりがちに。母のほうも、物忘れが増えてきて、ガス火の扱いや火元の安全に不安を感じるようになっていました。
介護保険の認定を受けると、手すりの設置やIHコンロの購入といった住宅改善に補助が出たり、訪問ヘルパーのサポートが受けられることも知りました。しかし僕の中では、最初から「安心して暮らせる環境への住み替え」がメインの選択肢でした。
地域包括支援センターへ相談に行くと、シルバーマンションや有料老人ホーム、介護施設など、いろいろな高齢者向け住宅の情報をもらうようになりました。担当の方からは「ご本人の意思が大切ですし、引っ越しは『終の住処』になる可能性もあるので…」と、まずは今の家で介護サービスを導入して段階的に考えることを提案されました。
とはいえ、当時の父も母も「まだまだ大丈夫」と言い張っており、実家での介護サービスさえ「必要ない」と否定的でした。でも、今の住環境の中で起こる両親の小競り合いや、コミュニケーションの行き違いも、「環境」を変えることで改善できるかもしれないという思いもあったんです。
そして2022年9月、ようやく住み替えに向けた第一歩を踏み出すことにしました。地域包括センターから紹介された、シニア向け住宅や介護施設を専門に紹介してくれる方とお会いすることになったのです。
そのとき、僕が知っていた老人ホームのイメージは、叔母の遺品整理の際に訪れた施設の雰囲気程度。正直、何も分かっていなかったので、いろいろと丁寧に教えていただきました。
「まずはお父さまお母さまご本人と直接お話できれば」と言われましたが、父はこの手の話には乗ってこないのが明らかだったので、母に「すぐじゃなくても、将来のために一度話を聞いてみよう」と誘いました。そして近所の喫茶店で、その“お助けマン”と顔合わせをすることになりました。
母は体は元気でまだ健脚。ただ、耳が遠くなり日常会話に少し支障が出てきていて、短期記憶の衰えも見えはじめていました。まだ手厚い介護が必要な状態ではなかったのですが、父のことも含めて今後に備えておくために、どんな施設が合いそうか紹介してもらうことにしました。
別れ際、母は「まだまだ大丈夫やな。心配なのはお父さんや」と、何食わぬ顔で笑っていました(笑)。
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