相続で判明した母名義の謎の土地──原野商法の残影と仮登記の処理へ#817 介護振り返りnote014
2022年8月、母から突然渡された土地の資料。思わぬ場所に名義が……?
ある日、母から「こんなのもあるよ」と手渡されたのは、滋賀県東近江市に関する土地の資料でした。東近江市といえば、かつて八日市市の一部だった地域です。
資料を見て驚きました。
母の名義で、135㎡の「山林」と、さらに409㎡の「田んぼ」が記載されていたのです。しかも田んぼの方は「所有権移転請求権仮登記」という見慣れない状態になっていました。
内容を確認してみると、昭和50年に叔父が取得した土地が、平成19年に母へ相続されていたとのこと。前年に手続きを進めていた京都・山科区や南丹市の土地とは別件で、まったく把握していなかったものです。

なぜ今までこの土地の存在に気づかなかったのか?
気になる点はたくさんありました。
・この土地はどんな経緯で購入されたのか?
・相続後の管理はどうなっていたのか?
・固定資産税などは支払っていたのか?
調べを進めるうちに、昭和~平成初期にかけて流行した「原野商法」にたどり着きました。1970年代~80年代、不動産業者が「将来開発が進み、土地の価値が上がる」と勧誘して売りつけた、いわゆる一次詐欺。その流れで、叔父が購入していた土地だったようです。
後から入手した図面を見ると、確かに該当地番には宅地として区画割りがされています。しかし、実際には野原のままで開発は進まず。
当時、山林部分は所有権移転が可能だったため母名義になっており、一方、田んぼについては登記の性質上すぐに移転できず、「所有権移転請求権仮登記」という状態のままだったのです。
固定資産税が届かなかった理由とは?
そもそもなぜ存在に気づけなかったのかというと、理由は評価額にありました。東近江市の名寄帳にはしっかり記載されていたものの、不動産評価額が非常に低く、課税対象として扱われていなかったようです。通知書の発送コストの方が高くつく、という理由で、税金の請求すら来ていなかったとのことでした。
税金がかかっていなかったとはいえ、母が正式に所有している土地と、仮登記状態とはいえ登記に名がある土地が放置されているのは気がかりです。のんびり構える母を横目に、僕としては不安が募っていきました。
司法書士への相談と、処理の方向性
そこでまず、所在地の確認や現状把握から始め、信頼できる司法書士の先生に相談。以下の2点について手続きを進めることにしました。
- 山林部分の処分(売却または譲渡)に向けた検討
- 仮登記となっている田んぼ部分の抹消手続き
もちろん最終的な意思決定は母にありますが、スムーズに進めるために、僕が先回りして段取りを整えていくことにしました。
ちなみにこの東近江市は、僕がかつて通っていた大学がある彦根市のすぐ隣。訪問にも抵抗がなく、勝手知ったる場所でよかったなと、少しだけホッとしたのを覚えています。
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