【京都検定対策】近代京都の夜明けを支えた「舎密局・女紅場」#940
京都検定の頻出テーマ「舎密局」と「女紅場」を徹底解説。舎密局がどのように日本の近代産業の礎を築き、「梅津パピールファブリック」を生み出したのか、また女紅場が果たした女子教育の役割を、重要人物や施設名とともにわかりやすくまとめました。これから受験を目指す方のための、効率的な知識整理に役立ちます。
この記事内容から抜粋した練習問題5問☆
- 明治初期に設立された舎密局の目的を、教育内容と関連付けて30字程度で記述しなさい。
- 舎密局の理化学教育を支援し、新産業の創始に協力した外国人技師のうち、オランダ人医師とドイツ人理学博士の名前をそれぞれ答えなさい。
- 舎密局の成果の一つである日本初の洋紙工場の正式名称と、その工場の動力として利用するために水利が確保された河川の名前を答えなさい。
- 伏見に設立され、ボール盤や蒸気機関の製造能力を持っていた近代的な機械工場の名称を記述しなさい。
- 明治初期に設立された女子教育の総合機関の名称と、祇園や島原といった遊所に設置された施設を何と呼んだか、その正式名称を答えなさい。
目次
1. 舎密局(せいみきょく):近代産業の礎を築く
舎密局は、明治初期に京都で設立された理化学の教育研究機関です。当時の最先端技術を駆使し、近代産業を創始・育成することを目的としていました。
- 設立場所:河原町二条(京都府勧業場の北隣)
🌟 協力者と目指した新産業
新産業の実践には、京都府の指導者と外国人の専門家が協力しました。
| 役職 | 人物 | 役割 |
| 勧業課長 | 明石 博高(あかし ひろあきら) | 推進役 |
| 京都府顧問 | 山本 覚馬 | 推進役 |
| オランダ人医師 | ヘールツ | 理化学の指導 |
| ドイツ人理学博士 | ワグネル | 理化学の指導 |
🏭 成果としての近代工場
舎密局の活動は、具体的な産業の創出に結びつきました。
洋紙工場
- ドイツ語教師のルドルフ・レーマンが参加し、洋式製紙を実践。
- 桂川の水利利用が可能な梅津に工場敷地を確保し、日本初の洋紙工場が設立されました。
- 明治9年:「梅津パピールファブリック」(Papier-Fabrikはドイツ語で製紙工場を意味)
伏水製作所(ふしみせいさくしょ)
- 伏見に設立された近代的な機械工場。
- 木型、鋳型、鋳物、鍛鉄、製作の各工場で構成されました。
- ボール盤、ダライ盤、針金引機械といった先進的な工作機械を導入。
- 宇治川から引き込んだ水を利用した水車を動力として使用しました。
- 製造能力:洋式の農機具、火葬の設備、印刷機械、蒸気機関の設備など、レベルの高い機械を製造する能力を持っていました。
2. 女紅場(にょこうば):女子教育の総合拠点
女紅場は、明治初期に設立された女子教育の総合機関です。女性の職業的・社会的地位向上を目指し、裁縫や手芸といった実業教育のほか、一般教科も教えました。
🏫 主な管轄施設
女紅場は、設置場所によっていくつかの種類がありました。
- 新英学校及女紅場:中心となる施設。
- 市中女紅場:市中の小学校区に併設された施設。
- 郡中女紅場:郡部の小学校に併設された施設。
👘 遊所女紅場
- 祇園・島原・北野上七軒といった花街(遊所)に設立された「婦女職工引き立て会社」が運営しました。
- これは、花街の女性たちへの教育機会を提供するための施設であり、特殊な形態の女紅場でした。
✅ ポイント: 舎密局は理化学・産業、女紅場は女子教育の発展を担った、近代京都の重要な機関です。特に梅津パピールファブリックや伏水製作所、山本覚馬の名前は頻出なので、しっかり覚えておきましょう!
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前述の練習問題の解答☆
- 理化学の教育機関として、先端技術を駆使し近代産業を創始・育成すること。
- オランダ人医師:ヘールツ、ドイツ人理学博士:ワグネル
- 正式名称:梅津パピールファブリック、河川名:桂川
- 伏水製作所
- 総合機関の名称:女紅場(にょこうば)、遊所に設置された施設:遊所女紅場(または婦女職工引き立て会社)