歌舞伎の顔見世#936
「顔見世(かおみせ)」は、歌舞伎の1年の始まりを告げる特別な興行です。特に京都・南座の「吉例顔見世興行」は、師走の風物詩として知られています。この記事では、顔見世の本来の意味や時期、南座正面に掲げられる「まねき」の秘密など、京都検定にも役立つ基礎知識を分かりやすく解説します。
1. 顔見世とは
顔見世(かおみせ)は、歌舞伎で1年に1回、役者の交代・新規の顔ぶれで行われる最初の興行のことです。江戸時代の演劇界では、俳優や作者は1年契約が建前でした。
- 契約期間と興行の時期:
- 江戸時代:契約期間は11月から向こう1か年(翌年10月まで)。
- 新しい座組の役者名を発表し、観客を誘うのが「顔見世興行」で、本来は11月に行われました。
- 明治以降、新暦で12月に行われることが多くなりました。(ただし、東京の歌舞伎座など、現在でも11月に行われる場合もあります。)
2. 顔見世興行の地域と時期
「顔見世」の名称は、京都だけでなく、他の地域でも使われています。
- 京都:南座で毎年の12月に興行される「吉例顔見世興行」が有名です。
- 東京:11月の歌舞伎興行(歌舞伎座など)も「顔見世」と称されることがあります。
- 名古屋:10月の歌舞伎興行(御園座など)も「顔見世」と称されることがあります。
3. 南座の「まねき」
京都・南座の顔見世興行の風物詩として知られています。
- 南座正面に、**勘亭流(かんていりゅう)という独特の書体で、出演する役者の名前を書いた「まねき」**と呼ばれる木の看板が掲げられます。
- 勘亭流:歌舞伎の番付(出演者名などを記したもの)などに使われる書体で、隙間なく文字が詰まっているのが特徴です。これは、「客席が隙間なく埋まるように」という願いが込められています。
あわせて読みたい記事
おすすめの書籍
リンク
今回のブログ記事前後の関連記事