【体験記】8か月ぶりに父の目からソフトコンタクトが外れた日 〜東福寺・第一日本赤十字病院にて〜#882 mission078
真夏の京都、東福寺にある第一日本赤十字病院でのこと。
僕と父が訪れたのは、父が長年お世話になっているコンタクト外来。
父の担当医の先生の手によって、なんと約8か月ぶりに父の左目からソフトコンタクトレンズがようやく取り外されました。
父に感想を聞くと、「なんかすっきりした」と一言。
それもそのはず。長期間つけっぱなしだったレンズの表面には白い埃がうっすらと付着していて、視界を妨げていたのです。
「何もなくても見えるか?」「歩けるか?」という先生からの問いかけにも、父は問題なさそうでした。
無事にトラブルを乗り越えた父の左目ですが、この日は少し心温まる出来事もありました。
父は2023年末まで、神経質で慎重派らしくコンタクト外来に定期的に通っていました。当時80代後半だった父は、10年近く顔を合わせてきた患者仲間やスタッフと、毎月同じ時間帯で予約がかぶる「顔なじみ」の関係を築いていたのです。
しかし8か月もの間、ぱったりと来なくなっていたことで「どうしたのかな」「もしかして…」と皆さん心配していた様子。
そんな中、僕に付き添われて父が突然現れたものだから、「〇〇さ〜ん!」「元気やった?」「心配してたよ!」と、次々に温かい声がかかり、まるでスターのように注目を集めていました(笑)。
父は少し照れくさそうに応えながらも、再会を楽しんでいるようでした。中にはこの8か月の間に奥様を亡くされた方もいて、しんみりとした場面もありました。
そんな日赤病院でのひととき。
帰り際には、父からサプライズのプレゼントがありました。
「孫に夏休みのお小遣いを渡してくれ」と言って、封筒に入ったお小遣いを手渡してくれたのです。
最初は「いつの間に?」と驚きましたが、どうやら僕が父をロータリーで降ろして駐車場に車を停めに行っている間に、父は慣れ親しんだ病院1階のATMまで歩き、自分でキャッシュカードから現金を引き出していたのでした。(もちろん自分のお金も含めて)
だから僕が「ここで待ってて」と伝えた入り口付近に父はいなかったわけです。
そんな細やかな気配りと行動力には、改めて感心しました。
その後の帰り道も順調で、父をサービス付き高齢者住宅の部屋に送り届けると、「ちょっと休むわ」と横になり、久しぶりの外出を楽しんだ様子でした。
僕にとっても、この日は夏の良い思い出となりました。
ちなみに父はこの出来事以降、裸眼で生活しています。
年齢的な衰えで徐々に見えにくくはなっていますが、もしあの時、コンタクトレンズの存在に気づかず放置していたら、雑菌が悪さをして深刻なトラブルにつながっていたかもしれません。
そう考えると、今回きちんと対処できて本当によかったと感じています。
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