母の右大腿骨頸部骨折と入院手術|認知症と高齢者のケア体験記(その1)#876 mission072
2024年7月、夏の盛りが近づくある日。
母が暮らしている京都のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の看護リーダーから、僕の元へ一本の電話がありました。
「お母さまが夕食時に足を引きずって食堂に来られました。どうも股関節を痛めているようです。ケガをされた経緯は分かりませんが、外科への受診をおすすめします」
高齢者の足のケガ。
春に母が左肩を亀裂骨折した際に通った、北野天満宮近くの整形外科病院が今回も最適だろうとすぐ頭に浮かびました。
この頃には僕も、介護の現場に関わる家族として、ようやくケアマネジャー、施設長、介護管理者、看護管理者それぞれの役割が理解できるようになっていました。
家族が担うべき手続きや調整も、以前よりスムーズに行えるようになっていたんです。
今回も電話を受けた時点で「通院は僕が担当する。東京から京都に移動する日程は〇日だから、その日に合わせて病院の予約をお願いしたい」
――ここまで具体的に施設へ依頼できるようになっていました。

診察当日。レントゲン検査の結果、医師から下された診断は「右大腿骨頸部骨折」。
つまり、太ももの骨(大腿骨)と骨盤のつなぎ目である股関節部分が折れているというものでした。
転倒などの衝撃で骨折したのか、それとも以前から骨が弱くなり自然に折れたのかは不明ですが、股関節は歩行に直結する重要な部位。
再び歩けなくならないよう、即入院・早期手術が必要とのことでした。
7月8日に入院し、9日に股関節へボルトを埋め込む手術。13日には退院するスケジュールとなり、比較的短期間の入院で済むことに。
春の肩の骨折で何度も通院したときよりも、家族の付き添いとしては少し負担が軽いかな、と僕は感じていました。
ただし案の定、大きな課題もありました。
母は認知症が進んでおり、「なぜ病院に来たのか」「どこを治すのか」「何のための入院なのか」――これらをいくら丁寧に説明しても、なかなか理解が定着しないのです。
看護師さんと相談し、最終的に「検査のための入院」という表現で統一することにしました。
「足」「骨折」「手術」という言葉は母の中で混乱を招くばかりだったからです。
家族も病院側もこの言い方で母に接することで、少しでも安心感を持ってもらえるように努めました。
幸い個室を確保できたものの、僕が「明日また来るね」と病室を後にした後も、母はバッグを持って帰宅しようとしたり、ナースステーションに出てきて看護師さんの手を煩わせたりと、入院生活はやはり一筋縄ではいかなかったようです。
翌日の手術から母の退院までの記録は、また次回のブログ記事で詳しくご紹介します。
あわせて読みたい記事
おすすめの書籍
関連する内容であわせて読みたい記事