京都の夏、高齢の母とエアコン問題 — 施設での熱中症対策の工夫 #875 mission071
京都の夏はとにかく暑いことで知られています。特に京都市内は盆地の影響で蒸し暑さが厳しく、全国的にも「夏の暑さが厳しい地域」として有名です。
2024年7月、母がサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に引っ越してから初めての夏を迎えたとき、「エアコン問題」が起こりました。

最高気温が30℃を超え始めたころ、施設のヘルパーさんから僕に連絡が入りました。
「お母さまがエアコンをすぐにOFFにされてしまい、熱中症が心配です。リモコンをスタッフが預かって管理してもよいでしょうか?」
もちろん僕はは「熱中症対策が最優先ですので、スタッフの皆さんで管理をお願いします」とお伝えしました。
思い返すと、2008年に建て替えた実家でも、母は1階の和室で暮らし、その部屋にエアコンはあったものの、ほとんど使わずに過ごしていました。リビングで父が使っていたエアコンの涼しさが少し届く程度で、母自身は窓を開けて扇風機を使う生活でした。
おそらく「エアコンの冷気が直接肌に当たるのが寒くて不快」だったのでしょう。
ところが、2~3日後に今度は父から私に電話がありました。
「お母さんがわしの部屋に来て、『エアコンのリモコンを盗って隠しただろう』と言ってきた。スタッフと勝手に話を進めるんじゃなくて、わしに一声かけてからにしてくれ。とにかく母さんにリモコンを返してくれ」
さらに父はこう続けました。
「お母さん、冷房が寒いと言って、椅子に上ってエアコンのコンセントを抜いてた。熱中症も怖いけど、椅子に上るのはもっと危ない。施設の方と相談して対策してくれ」
そこで僕は京都の施設に面会に行き、ヘルパーのリーダーさんに相談しました。
父の言っていた通り、母は「とにかくエアコンを止めたい」という思いから、コンセントを抜く行動に出ていたのです。
実は、母には「電化製品は使っていないときはコンセントを抜くのが節電・安全につながる」という長年の習慣がありました。電気ポットでも扇風機でも使わないときはコンセントを抜く――そういえば実家でもよく見かけた光景でした。
施設のスタッフと話し合い、僕は「互換性のあるエアコンリモコンを自費で追加購入し、母とスタッフがそれぞれリモコンを持つ“二重管理体制”にしてほしい」と提案しました。
母はエアコンを付けたがらず、付いていても消す可能性がある。しかし、施設のスタッフが1日3~4回巡回する際にエアコンOFFを見つけたらONにしてもらう。この“いたちごっこ”でも熱中症を防ぐためには必要な策でした。
父が望んでいたのは
- 母がリモコンを探して椅子に上る危険を防ぐこと
- リモコンを「盗んだ」と疑われるストレスを減らすこと
- 何より母が熱中症にならないようにすること
でした。
こうして、母の部屋では「2台のリモコン管理体制」で真夏に備えることになったのです。
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