#861 mission057 【父との面会|2024年3月6日】衰弱する姿と向き合って【介護振り返りnote】
2024年3月6日、入院中の父に面会するため病院を訪れました。看護師さんに案内されて個室へ入ると、「息子さん来られたよ~覚えてる?」という声に、父はこう返しました。
「覚えてるよ、毎日夢で見てる」
約10日ぶりに会った父の姿は、以前とはまるで別人のように見えました。体重はおそらく、以前の3分の1ほどまで落ちてしまっていたと思います。
僕の訪問をうっすら喜んでくれてはいるものの、病院の先生によると、認知機能が著しく低下しており、ここがどこなのか、何日入院しているのか、さらには今が何時かさえも分かっていない状態だそうです。
僕の声には反応しますが、指をさした先は、僕ではなく部屋の壁にあった黒いしみ。まるで、そこに僕がいると思い込んでいるようでした。幻覚が進んでいるようで、正直、ここまで衰弱しているとは思っていませんでした。
看護師さんは丁寧に接してくれているという感想を持っている父ですが、病院内でもコロナの感染が増えているらしく、「自分も含めて感染者が多いからお前も早めに帰った方がいいぞ」とこれに関しては用心深い父らしくまともなアドバイスを受けました。
父は病室がある京都市内の病院を「ここは大阪や」と言い張ったり、「車で東京まで行ってきた」と話したり、話の内容は支離滅裂。何が現実で、何が幻なのか、もはやわからない状態です。以前、実家で「死神が見えた」と話していた父が、今回は「小僧がうようよおる」とまで言い出すようになっていました。
面会時間は、感染対策のため15分間のみ。その短い時間で、「また来るな、お父さん頑張って」と僕が言うと、「おぅ、お前も頑張れよ」と答えてくれました。手を握り合ったのが、せめてものふれあいでした。
看護師さんから聞いたところによると、父は以前から介助を拒否する傾向があり、さらに食事がほとんど取れていなかったため、3月4日から点滴による栄養補給が始まったそうです。食べられないことが、ここまでの衰弱を招いた一番の要因のようでした。
面会前には、父から怒られる覚悟もしていましたが、そんな力すらもう残っていないように感じました。
「これはまずいな……」
あくまで僕の主観ですが、ここ数日での病状の変化や衰弱のスピードを見て、「もしかしたら、このまま命が尽きてしまうのではないか」と強く感じました。
すぐに東京にいる妻や家族、部屋の準備を進めてくださっていたサービス付き高齢者向け住宅の関係者、信頼しているケアマネージャーさんや支援してくれている方々へ、状況を報告しました。そして、実家の隣にあるお寺の住職にも、「もしかしたら、長くないかもしれない」と話しました。
ただ、僕の直感とは裏腹に、病院側からはいわゆるテレビドラマのような「長くないかも」「あと何日が山場です」といった言葉は一切聞こえてきませんでした。
あわせて読みたい記事
おすすめの書籍
関連する内容であわせて読みたい記事