#857 mission053 父の入院と母の“脱走”事件――認知症と向き合う僕の1週間【介護振り返りnote】
父が突然の入院。しかも感染症対策の影響で、1週間は面会すらできない状況になってしまいました。
電話もできず、顔を見ることもできないまま、「次に会うとき、僕はどんな顔をして行けばいいんだろう」と、落ち着かない日々が始まりました。
そんな不安な気持ちを抱えていた矢先、今度は母に想定外の“事件”が起きました。
母は認知症を患っていて、父の入院については僕からも、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のスタッフからも何度も伝えていました。でも毎回「えっ、初めて聞いた」と驚くような反応を見せつつ、「まあ、もう歳やしな」と、あまり気にしていないように見えていたんです。
でも、もしかすると母なりに気にしていたのかもしれません。心のどこかで、父の不在に不安を覚えていたのかも。
僕は父の入院手続きを終え、面会が可能になるまで東京に戻って待つことにしました。ところが、ある日の夕方、母の携帯電話から突然の着信が――。
出てみると「○○警察の交番です」と、まさかの警察からの連絡。最初は詐欺かと一瞬身構えましたが、どうやらそうではなさそうでした。
話を聞くと、母がサ高住のオートロックを抜け出してしまい、道に迷って近くの交番に駆け込んだというのです。バッグを持って外出するつもりだったようで、本人に悪意はなかったようですが、認知症の影響で帰り道がわからなくなってしまったようです。
ただ、幸いなことに携帯電話を持っていて、僕の番号を警察官に伝えてくれたおかげで、すぐに連絡をもらうことができました。
僕は東京にいるので、すぐに施設の責任者に電話をし、交番まで母を迎えに行ってもらうことに。
どうやら、母が建物を抜け出してから交番に保護されるまで、ほんの数十分だったようです。施設の看護師さんやヘルパーさんも、母がいなくなっていることに気づいていなかったとのこと。
その後、施設長(この方、父の搬送にも付き添ってくださった方)が迅速に対応してくださり、母は無事にサ高住へ戻ることができました。

母の行動には理由があったようです。その日は昼頃から父の部屋を訪ねてみたり、いないことに気づいて探し回ったりと、少し混乱した様子が見られていたそうです。
「買い物に行くつもりだった」と話していたようですが、もしかすると、父を探しに出かけたのかもしれません。
無事に戻ってきたことに、ひとまず安心したのも束の間――翌朝、さらなるトラブルが発覚しました。
サ高住の看護責任者さんから連絡が入り、「昨日保護されたときには異常がなかったお母さんですが、今朝のチェックで左肩に内出血が見られ、骨折の可能性があります」とのこと。
父の入院に続いて、今度は母の“脱走”とケガ。怒涛のようなトラブル続きの1週間でした。
認知症の家族と向き合うなかで、改めて「想定外」は日常の中に潜んでいることを痛感させられました。
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