#855 mission051 父が倒れた朝、そしてコロナ陽性──遠距離介護の現実と決断【介護振り返りnote】
2024年2月27日、忘れられない日になりました。
その日、僕は東京で仕事中。朝10時前、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)から一本の電話が入りました。電話の主は、両親がお世話になっている施設の介護責任者の方。
「お父さまが倒れました。出血もあり、こちらでは対応しきれないので救急車を呼んでもよろしいでしょうか?」
詳しく聞いてみると、朝の見回り時にはすでに倒れていたそうで、どうやら前夜、お酒が入った状態で、手洗いや浴室からベッドに戻る途中で転倒した様子。頬のあたりを切り、出血もあったとのこと。幸い意識はあり、「たいそうなことはせんといてくれ」と話していたそうですが、対応が難しく救急搬送に。
唯一の家族である僕は東京にいたため、施設長が代わりに病院まで付き添ってくれることになりました。
まずは応急処置をお願いしつつ、病院からの連絡を待ちながら、僕も京都へ向かう準備を始めました。
「倒れること」は想定していた、それでも…
実を言うと、父が倒れること自体は初めてではありません。実家にいた頃も何度かあり、そのたびになんとか回復してくれていました。
今回も、倒れた現場を誰にも気づかれず放置されるのが一番怖かったんですが、サ高住に移ってからは見守り体制が整っていて、転倒発見が早かったのは本当に救いでした。入居からまだ10日ほどでしたが、「移っておいてよかった」と心から思いました。
しばらくして病院から連絡があり、施設長が丁寧に様子を伝えてくれました。
「幸い大きな打撲や骨折はなく、頬の傷も簡単な縫合で済みそうです。本人も『大丈夫や』と言っています。施設に戻ることもできそうですが、車椅子での移動で少しふらつきがあります」
施設長と僕の意見は一致していました。「念のため、一日でも入院して経過観察してもらったほうが安心だろう」と。
まさかのコロナ陽性、そして個室隔離へ
「入院手続きをします」との連絡を受け、僕も京都に向かう準備を本格的に進めていた矢先、施設長から再び電話が。
「すぐに京都に来られなくても大丈夫です。入院前の検査で、お父さまが『コロナ陽性』でした。無症状ですが、感染対策のため個室で隔離になります。一定期間、面会もできないとのことです」
……正直、頭の中が真っ白になりました。
ショックを受けたのはもちろん父本人だったと思います。無症状とはいえ、突然の救急搬送、そして知らされるコロナ陽性。さらに誰にも会えない隔離入院。
症状が出なければ、隔離が解けるのは約1週間後。3月6日まで、家族ですら会えない。
一気にいろんなことが起きて、僕自身も気持ちの整理が追いつかない状況でした。
終わりに:この出来事が教えてくれたこと
今回の一件を通じて、あらためて「家族がすぐそばにいられないこと」の難しさや、見守ってくれる人のありがたさを痛感しました。
父の転倒や救急搬送、さらにはコロナによる隔離という予想外の出来事にも、現場の皆さんが冷静に対応してくれたことで、大きな混乱には至らずに済みました。
高齢の家族がいる方、遠方で暮らしている方にとって、いつ起きてもおかしくないこうした出来事。備えと、信頼できる施設や医療機関とのつながりの大切さを、改めて実感した1日でした。
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