父が倒れた日と、母の記憶の空白――僕の誕生日に起きた出来事#834
2023年7月31日。この日は僕の45歳の誕生日でした。
ちょうど関西方面での仕事があり、出張を兼ねて実家に帰省することにしていました。

実家に着いたのは午後2時ごろ。いつも通りの落ち着いた雰囲気で、母が出迎えてくれました。
ただ、リビングには父の姿が見当たりません。最近は昼食後に2階の寝室で昼寝をしていることが多いので、きっと今日もそうだろうと思っていました。
「帰ってきたよ」と声をかけると、寝室から父の返事が聞こえてきました。
「おぉ、おかえり。さっき倒れてなぁ、救急車来よったんや」
一瞬、何を言っているのか理解できませんでした。
父は寝たまま、落ち着いた口調で話を続けます。
倒れたのは2階のトイレだったそうです。
以前にも同じようなことがありました。トイレで踏ん張った拍子に血圧が急変し、気を失ったのだろうということでした。
そのときも偶然母が気づき、救急車を呼んでくれたとのこと。
今回も、午前中の出来事だったそうで、すぐに救急車が来たけれど、父は「大丈夫や」と言って救急隊を帰してしまったそうです。
「お母さん、あいつたいそうやねん」と苦笑いしながら言っていました。
幸い、頭は打っておらず、腰かお尻を強く打ったようでしたが、今はベッドで安静にしている様子。
言葉もはっきりしていて、「しばらく寝たら治る」と本人も言っていたので、ひとまず安心しました。
けれども、今回の件で一番ショックだったのは――
帰宅時に母が、その出来事をまったく覚えていなかったことです。
「お父さん倒れた?うそ、夢見てたみたい」
「私が救急車を呼んだの?ほんまに?」
まるで他人事のように話す母に、背筋がぞっとしました。
翌々日に訪問予定だった看護師さんにすぐ連絡し、父の担当である地域包括支援センターにも状況を報告しました。
このままではいけない、という強い危機感が芽生えた瞬間です。
父はもうすぐ90歳。2階に上がらないとトイレに行けない今の家での生活は、限界が近づいているのかもしれません。
それに今回の件には、おそらくビールを飲んでいた影響もあると思われました。
誕生日に起きたこの出来事は、これからの両親の暮らし方を真剣に見つめ直すきっかけになりました。

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